2007-05-29から1日間の記事一覧

「さくらむすび」から抜粋 その6

「ここはもう、桜の国なんだ」「は? あ…え?」きょろきょろ、辺りを見回す紅葉。誰かがカンペでも出しているんじゃないかと期待しているようだけど、そんなものありはしない。さすがの邦彦だって、今頃口をぽかんと開けて成り行きを見守っているさ。「桜の…

「さくらむすび」から抜粋 その5

まだお化け役にこだわっているのか、桜は『がおー』と言いながらしがみついてきた。

「さくらむすび」から抜粋 その4

<i>――ねえ、覚えている?出会った時のこと。桜を見上げる貴方。お化けでも見るような目をした貴方。何かに、怯えていた貴方…薄紅を、深紅と言い切る貴方。桜の木々の向こうに、どこか別の世界を覗いていた貴方。放っておいたら、その先に消えてしまいそうな貴方</i>…

「さくらむすび」から抜粋 その3

客観的に見た場合と主観的に見た場合の差が出た、というところだろう。自分で読んでみて思ったが、この差は言葉で考える以上に大きい。特に役ごとに割り振って読み進むやり方は完全に客観性が失われる。個々の思考にのみ意識が集中し、まるで別物を扱ってい…

「さくらむすび」から抜粋 その2

<i>――ねえ、覚えている?入学式。期待に胸を膨らませ、昇る坂道。舞い落ちる桜の花びらが、私たちを祝福するように降り注いでいた。それは、小高い丘の上に建っていた。私の夢、私の希望、私の未来――あなたはいったい、どれだけの私たちを受け入れ、生き長らえ</i>…

「さくらむすび」から抜粋 その1

「うん。私小説的で、不安定だ。書いた人間の不安定さがにじみ出ているようで、気持ちが悪い…というより落ち着かないな。逆に、そういう芝居とも取れるけど」「う、うーん。よくわかんないけど、私の代の先輩たちって、みんな普通だったよ」「ああ、別に否定…

さて、どうキャラを立てる?

「戯言使いのいーちゃん」が推理小説の形式に依存してるのと、作中で殺したり死んだりしてるキャラクターたちがキャラ立ちしてるのは、連携しているのだろう。ゲームであること、つまりは囲い込み、囲い込まれることでキャラ立ちする。そのような規定の囲い…

スタンドアローンであるようなキャラクター

キャラクター単体が作品から切り離され独立した形でありうることが自明視されてる、というのが一つに言える。 長森が、それまでの浩平の一人称を引き継いでエピローグで語れてしまうのは、キャラクターが語りから切り離されて成立していることを意味する。そ…

先の見えない選択肢

その場では選択しないこと、選択を遅らせ続けること、責任を負う最終決定を先送りにすること、というのがまず最初に来る。ヒロインを選択する行為の主体が拡散し、あわせて行為そのものが拡散していく。 ついで、枠組み全体に拡散した行為が記述によって回収…

長森シナリオ

シナリオの文面は、今となってはやはり安い。そして、最初にプレイした当時は、ヒロイン目当てで突き進んでいるわけで、やはり受け入れられるものではなかった。 基本的には陵辱ゲーのなりそこないなんだと思う。だって世間の普通のカップルを呪ってみせたり…