こんにゃくやめとけ、という意味合いで

http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20081212#p1

 至急に書いとくべきかと思ったので上へのレスを絡めて。
 
この青空に約束を――』は「後ろ向き」で出来てます。前進する意思がない。シナリオやシナリオの台詞や言葉が、どこか(受け手や、真善美や、テーマ)に辿りつくことはありません。キャラクターもイベントCGも地味つーか色気ないです。構図ひどいとか思うこともあるでしょう。というのも、「立ち絵と背景の組み合わせ」を画面構成の軸にしていて、イベントCGも一部それに従うような形になっていたりするので、画面映えさせるの前提というふうにはなっていません。

 唯一例外がエピローグ番外編シナリオになります。そこだけのために買う価値があると思えるならキャラ買い可。その番外編担当キャラが苦手なタイプだと思うなら買わないほうがいい。

 私は作品として高く評価しています。どこにも辿りつかない言葉、上滑りしていることへの自覚に基づいた諦念が、先行きのなくなった島という舞台、空虚であることに留まろうとする全体の構成と噛みあって整合性がとれているからです。だから逆に、小説読みや言霊の宿るタイプの文章が好きというひとには薦めません。そこまで文章内容を気にしない人も多いでしょうから、そういう人は損はしないだろうと思います。

「立ち絵と背景の組み合わせ」表現としては、安定した演出を誇っていて、そうしたものに興味がある向きにはいいでしょう。その際は「出来ないことはやらない」「効果的に演出できるシーンだけシナリオに起こす」といった、やってないこと、あるいはプレイヤーの視線をどう逸らしているか、に注目したほうがいいです。それがまた「シナリオをただ書き連ねることに対する見切り、諦念」に繋がります。描かれないことが圧倒的に多い。そこへ手を突っ込んで描かれない何かを掴み取ろうというのもないです。未練がましい言及は随所にあります。ですがそれは核心に至ろうという言葉ではない。

 書かないことを選ぶという態度はありえます。書かず、それゆえせいぜい泣いてみせるだけです。それは、その整合性を貫くという態度の一点において評価されると私は考えます。そのようなものが見たいと市場は評価した、それが『この青空に約束を――』という作品だったのでしょう。