ファンディスクのそれ

 素材の使いまわしで利益を得るためていう浮世の事情は置いといて。

 エロゲのシナリオを立ち上げてく上での、混乱してる状況の引き写しという部分があって。

 毎度の話、世間で出回るポルノの「シナリオ」は既存のシステム・フォーマットに対する風刺・批判・揶揄・パロディでやってくのがフツー。なのにエロゲーはオリジナル志向がやたらと幅をきかせてる。(アリスソフトに対する批判に「同人的ノリ」なんてのがある。いやエロパロなら同人っぽくもなるだろ普通)で、オリジナルストーリーを十分に楽しんで更にエロも、てのは相当に贅沢な話で。

 つか普通のドラマは性をダイレクトに描写しないで迂回するところでダイナミズムみたいのが生じてくんで、「抜ける」ようなエロを携えつつシナリオの緊張感も維持しててのは無茶な話で、その無茶さを正直に正面特攻を試みてくと鍵や月になって、真面目に本編に全部を詰め込んだ後遺症でファンディスクがファンディスクじゃなくなったりもする。似てるようで違うのでは『SNOW』の番外編がギャグパートとシリアスパートで作品が分裂してるのがあったけど、あれなんかはパロディとシリアスの右往左往で本編がちと平べったくなったのを整理してメリハリつけた結果と言える。

 んで、そうじゃないシリアスな緊張するストーリーを作っちゃってるエロゲーの「ファンディスク」てのは、つまりエロ(弛緩)の役割を本編の代わりに請け負ってる。

 これは、アニメなんかでの「続編」だから出来ること、でもある。虚構を立ち上げてった『おねがい☆ティーチャー』と、そこに乗っかって展開していった『おねがい☆ツインズ』とか。創造や解体というより、既にあるものをスライドさせていくことで回してく手法。

 もちろん二つに分かれてるのを上手いこと一つに纏められるなら、それはそれで望ましい。僕が『 Garden 』に夢見た3P描写というのはそういう意味合いだし。

 ただ、そもそもが従来のメディアでは求められてなかった無茶なことを今のエロゲーのシナリオは要求され、そのための学園日常ていう手法であり。そのへんを見るんじゃなかったら、オリジナルストーリー路線のエロゲをやる必要はあまりない。つか、実写ポルノですら「本編えろ無し(えろは、全て特典映像)」http://www2u.biglobe.ne.jp/~bso/main/dust/kira.htm
という状況なのだが。