ポルノなアドベンチャーのよってたつところ

 えーたとえば、わりと典型的な淫妖蟲シリーズ。ヒロインの深琴は、シリーズ前2作をとおして、さんざっぱら触手やらいろんなものに犯されまくっているのだが、3作目にいたっても、酷い目にあうたび、おぼこい反応を示す。なぜか。おぼこだからである。

 つまり、シリーズのトゥルーエンドというか、続編につづく流れでは、深琴は犯られていない。深琴がいろんなものに犯されているシーンは、触手に女の子が陵辱される話であるにもかかわらず、シリーズ的には本筋じゃない「バッドエンド」なところでのみ、犯されているからだ。

 3作目は触手と和姦となったので少しは「本筋」でエロい目にあうのだが、逆に言えば陵辱を喧伝しまくるようなタイトルだのにメインヒロインがエロい目にあうのは「シナリオの本筋」ではなく、それでいて、ちょっと純愛テイストをまぶすとメインヒロインが触手とエロいことになるという、ねじれたカタチがむき出しにされることになる。

 エロゲーのシナリオは、しばしば、そういうカタチをとる。いちいちバッドエンドに向かわないと、エロシーンが回収できず、全体の骨格となるメインのシナリオ部分では、エロシーンが発生しなかったり、手ぬるかったりする。昔のエロゲだと、メインヒロイン以外のヒロインにはルートが存在しないので、そゆヒロインとHするにはセーブしてバッドエンド見ないといけない、みたいのもよくあった。

 そのほうが、無理がない。エロ酷い目にあいそうになりながらも危機一髪でピンチを脱出するほうが、作劇としては話の体裁は整っている。けれど、ピンチを脱出しちゃうと触手に陵辱されないで終わってしまう。

 エロゲのシナリオというのは、原則、そのようなもんである。純愛和姦でも同じことで、作中で無事に結ばれちゃうのより、ラストまでHしないで先延ばしするほうが作りやすい。だってさ、食っちゃったらもうヒロインの魅力半減でしょう? 俺はまだ、あの娘とHしてないんだ、というのが主人公(読者)のモチベーションでなくてどうする。読み終えるギリギリまでヒロインの魅力が維持できてるのが娯楽読みものの原則だ。

 上記が、大筋である。ここに含まれない例外について言及しとくと、本筋にエロを組み込むタイプのメーカーだとエロが淡白になりがち、というのもある。10年昔の話だけども。

 んで、純愛和姦エロゲの達成とは何かというと、シナリオ本筋とエロシナリオの分業体制を否定し、本筋においてかわいい女の子の抜けるエロシーンを組み込むという、異常性だ。