戦術と戦略

>商業ライター(会社勤め&フリーを含め)のほとんどは、
>与えられた戦場で仕事をする『戦術家』です。
>期日・予算・作品のジャンル……
>そういった『戦略的条件』を考えるのは、ライターではありません。
>しかし、歴史・軍事ヲタクにとって、
>『戦術的勝利』の積み重ねでは『戦略的敗北』を覆せないのは、
>これ常識です。
>
>今の業界ではプロが商業ベースで書いた作品よりも、
>同人が、荒削りながら激しい情熱を持って書いたシナリオの方が
>受け入れられている
http://blogs.dion.ne.jp/dee1208/archives/cat_60271.html

 17.3Mb。
 1文字2b、余白改行を考えないとして200字詰め原稿用紙で4万3千枚。

 リンク先の情熱と実践への敬意は俺が書くべきことではないので書かない。

 割と絶望してます。プロがそこまでの物量を投資しないと戦略的勝利が得られないのか、と。

 今のノベルエロゲのシナリオライターの負担は異常で。言っちまえばゲームデザイナーとプログラマーの仕事を負わされ、しかもそれをプログラム言語じゃなく自然言語で作れということで。プログラムだから、「作品の余韻」「作家性」に換算されるような「はみだし」はバグになる。

 同人の「荒削りながら激しい情熱」って、荒削りであることと情熱であることが分離してないわけで。多少バグってても同人だしいいか、っていう許容があり、けど実は、そのバグを削ったときに失うものは情熱そのものだったりする。

ひぐらしのなく頃に」は当初の予定からすると未完成で、一人づつのルート分割で発売された。それは各所の証言(アルケミストの社長とか)で判りきってることで。で、その未完成のルート分割が意味を持った。プレイ順序を固定しただけでなく、発表の順序が「ループの時系列順序」にもなっている。この順序が最後は全体構成を律した。時系列が完全に固定されたことで、様々な問題がクリアされた。最前線から撤退し戦線を縮小することで勝ち目が出た。

ひぐらし」の先に道がないことは判ってる。勝ち目を求めるため、せめてゲームデザインとプログラムの部分を固定しジャンル化したい。ジャンル化は地味に少しづつ進んでいる。あと少し時間と理解が得られれば、小説でも映画でも推理アドベンチャーでもないノベルゲームのジャンル化は成り立つ。だが、その理解は絶望的に遠い。