八神健『どきどき魔女神判!』

 作家のネームバリューとタイアップタイトルのネームバリューを取り除くと単なるアナクロの極みに見えるが、魔女神判の漫画化として考えると一つの解答ではある。

 魔女神判は基本のゲーム形式は古典的なAVGだ。タッチペンで校舎内歩き回り、人物に話しかけ、あるいは背景画面をつついて調べ、手がかりを見つけて話が進んでいく。

 で、エロゲやギャルゲに仕事で関わってる御仁から批判的意見を言われ。何で今さら画面を調べてまわらなきゃならない面倒な形式に戻らなければならないのか。女の子が出てきて仲良くなればいいんだからノベルでいいじゃん、と。一般的な意味でのゲーマーである彼にとっては話を読み進めてくだけのエロゲギャルゲはそもそもゲームじゃないので、ゲームの手順を省くのは至極当然にしか見えない。時間を巻き戻してAVGにする必然性がなく、いちいち画面をつついて手がかりを探す手間を増やすのは無駄な懐古趣味にしか見えない。彼にエロゲであってもノベルは作ってる側もプレイしてる側も限界を感じてると説明しても、当然ながら納得しない。

 漫画版はそういう視点から見た「無駄な懐古趣味」を上手く拾ってるんだと思う。