sola9話(久弥直樹脚本の回)

 ああ。これはちょっと。ギャルゲーをアニメ化して個別ルートを無理やり一本にまとめたせいでプロットがバラけちゃった、ぐらいバランスが悪い。

 分岐ギャルゲーはクライマックス=回想シーンだが、普通のドラマでは回想シーンはクライマックスじゃない。
 今回の記憶のフラッシュバックはベタな説明でしかないんで、説明シーンに大量に労力を投入されてるからこそ周辺事情の説明不足の部分がやたら気にかかる。直前の回とのズレも気にかかるし、前後の連絡のついてないのがマイナスに出た感じ。

 ぶっちゃけ、繭子と剛史のコンビの過去なんて、無視しちゃったっていいんだよな。おねツイの島崎康生と織部椿だって、二人にクローズアップするっつーより、樺恋と深依奈の二人がオチをつけてくれるワンエピソードだし。それでも1クールの中に挿入すると唐突な印象が残る。多分、本筋と対比される縮小サブエピソードは作劇上のセオリーなんだろうけど。

 彼ら二人の過去は台詞のほのめかしに収めるかべきだったんだろう、けど。んー。

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 アージュの社長がインタビューで自分とこのシナリオを指して「鬱」とか言ってて萎える。あほかい。つうか本当にアホか。

 んー。胃にくるゲームシナリオがやりたかったら、ドラクエ7がとりあえず頂点だと思う。1回クリアするのに80〜100時間かかってね。んで、中盤の展開、全体のうちの三分の一ぐらい、延々と先の見えない、救いのない話が続くから。戦闘を延々と繰り返して先に進むことに対して、プレイヤー態度的にというよりゲーム世界内感情移入的に虚無っぽくなれます。それでいて、終盤にきっちり救いのあるほうにまで話を進めてくから本物のプロは凄いよね。シナリオ構造的には、タイムパラドックスの変形というか、時間と空間の組み合わせのパラドックスクロノトリガーの発展形とでも言うか。シナリオ自体は草の根のベタな人間ドラマからまるで足を踏み外さないんですが。

 基本的の人間ドラマですらRPGに及ばない「シナリオ重視」のノベルゲームで、鬱とか感動とかよく言ったもんだというか。ユーザーなめられてんなぁ、と。