コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS

 今さら。
 素材的にはかなり安くおさえてて、背景なんかもかなり安っぽく、立ち絵もかなり割り切った感じ(場面の登場人物紹介程度の立ち絵で、その後は殆どがバストアップの口パクで進行する)。エピソードが場所選択単発イベント方式(ようするにToHeartと同じ)なので、「物語」を語るメディアなのだ、などと言いつつ「日常という形式」にとらわれて毎日毎日エピソードが続いちゃって冗長になりがちなエロゲのトラップからは普通に逃れてます。ので、絵面がチープでもプレイ感はサクサクと良好。

 人気アニメのキャラクターが声優つきで喋るからこそ成り立つチープさ(紹介記事や体験版で美麗さを売りにしなくても買ってくれる)だし、プレイヤーが既に人となりを知ってるキャラクターたちだからこそ余計な説明をガンガン省いていけるんだけど(日本の現状はどんな感じか、「黒の騎士団」とは何か、登場人物たちはどういうタイプか、みたいな最低限の説明はされるけども、原作アニメのように、その設定の突飛さ、アイデアを売りにしてるわけではない)、このぐらいが丁度いい軽さだと感じたり。

 実際、アッシュフォード学園生徒会にしても、黒の騎士団にしても、居心地がやたらいいんですよ。みんなイイやつでさ。本編と関係ないからこそというのもあるんだけど、みんなのオリジナル主人公に対する個人的な気遣いまっすぐ向けられてて、浮世の居心地の悪さに疲れてるタイミングでこれプレイするとマジ癒されます。いや、まだ話の中盤だから、これからヤな展開が待ち受けてるんだろうけどさ。

 なんかね、ナナリーと仲良くなってくと、次第にルルが打ち解けてきて「ナナリーの騎士にはスザクと思っていたがオリジナル主人公に頼むべきだろうか」とか言い出すんですが、これまぁアニメ原作ファンだったら原作クラッシュつーて怒っていいような物言いのはずなんだけど、それが全然、違和感ないんですよね。とにかく空気がすっげえ優しいの。

「日常」ってね、いや別に今やってるアニメじゃなくて、日常物アニメとか日常を舞台にしたエロゲとか、いまもう、単なるフォーマットになってて、「日常」の部分に魅力を感じないのが多いんだけどさ。この空気の優しさが、もともと求められてた「日常」って価値なんじゃないのかなあ。