そのよん

「るい智」のシナリオの語り口は途切れるの前提にしてて、むしろテキストだけ観客を向いてると言えるけど、先に読み進める方向性は最初から諦めてる分弱い。10行抜いて続けても構わない断章形式に近いわけで、文章が終わったらその先の見通しはきかない。(なので、ここまで絵面を派手にしてガンガン動かし時間的な継起性・物語性を引き受けていった画面構成を請け負う人は映画で言えばカメラマンで撮影監督、アニメなら絵コンテ演出担当てぐらい重要な位置付けになってるハズなのだが、それやってるのが特に指示を受けてない外注の人らしく、つか、まさかそこまで重要度が高くなると誰も思ってなかったろうし、今もそうは捉えてないのだろう。実際、ただ絵を置くだけだったら絵師と塗り師が一番大事なんだけど)

 全般に、物語という繋げてく・繋いでくための機能に対し、何でそこでそうなるていう致命的な抜けがあるのだけども、じゃあなぜ話が繋がらなくなったのかを追いかけていくと、「今ドキのノベルエロゲトレンドに忠実だから」という一面が浮かんでくる。で、その「トレンドへの解答」として、困ったことに、妙に出来がいい。つまりノベルエロゲトレンドにはとても注意を払いましたが、それ以外には注意を払いませんでしたという受験生的解答。

 ヒロインは5人でワンセット、その5人を扱うのに最適化させるための手法としてのシナリオ構成・画面構成で、物語の継起性を放棄。

 ヒロイン全員が顔見知りで仲間のほうがいい、だからヒロインとセックスするのがメインでないほうが収まりがよくて、下半身で先を読ませる手段を放棄。

 男の子がちゃんと物語全体の主人公として活躍したほうがいい、だから前半に伏線まいておけば……つって肝心の後半へと読者を牽引する役割を放棄。

 そゆ作りが価値観として提示された結果、「エロゲはエロだけじゃないよ」「エロゲは物語を読むメディアだよ」「とりあえずフォーマットに合わせとけば、その書式に従って読んでくれるよ」とゆー何かえらく狭い「業界」を想起させるフレーズばかりにぶち当たる。

 で。

 まさか、最初からそんなもんを作りたかったわけじゃないだろう。もっとガッツリ物語を語りたかったんじゃないのか。