ごじつだん

 で、2週間ばかしの合宿のあと、なんか今後の抱負を5分間ばかし延々と述べないといけなくて、それで合格しないと帰れません、みたいのがありまして。

 で、抱負なんてマシなものなんざ今も昔も持ち合わせてないので、当然、ナニをどう喋っていいかなんてわからんで、なんか親孝行しますとか勉強しますとか大志や夢を語って合格してとっととバスに乗って出てく子らを横に眺めつつ、あいつら真似すれば帰れるのかなー、とか考えてると、なんか一人が喋ってる途中で泣き出すわけです。んで合格。

 で、合格を決めた教員が「こうやって泣く奴もよくいるんだ」とか言い出すわけですね。

「なるほど、ああやって泣き出せばいいのか」

 あとはもう、不合格組の半分ぐらい、途中で泣き出すわけです。俺も泣きかたをそこで憶えました。頭の中でこのタイミングで泣こうとか狙わなくても、ここで泣かないとヤバイとかどっか意識の底で命令が出て泣くわけですね。

 で、その、泣くのを憶えた後も、2、3回ばかし不合格になる。そのときも「お前は目がくさってる」といわれましたが、さておき、いくら中学生でも、スピーチのたびにイチイチ泣いてると、もう自分が泣いてるのが悲しいとか感動してるとか、そういう情動と連動して泣いてるわけじゃないな、それでもウソ泣きという気分じゃなくて、単にタイミングみはからって泣くような反射運動がどっかで働いてるんだな、てのが頭の片隅で理解できてくる。

 なので、俺が「泣く」「泣いた」とか書くときは、そんな感じのニュアンスで書いてます。いや実際、「ここで泣いとけ回路」がどっかで形成されてるんでしょうねえ。