そのさん

「るい智」体験版はやたら長いエピソードが語られ、話が終わる。もうこの先は見なくていいや、というぐらいにキッチリ終わっちゃってる。話の引きとしては異能力の持ち主らしい各キャラが何か宿命を背負ってるらしい設定だけど、それは喫緊で解決しなきゃいけないわけでもなく、むしろ序盤から何度も差し挟まれる「日常」シーンでこれでもかと先送りにされる。体験版終わって、むしろ平和なんだからこれでENDマークでいいじゃん、宿命たって人間いつか死ぬのと同じだし買わないでシナリオ読み進めないほうがこの子たちきっと幸せだよ、とゆーのが「るい智」だ。

 じゃあエロシーン見たいために読み進めるのかというと、これが無理に見たいとは思わないんだな。ざっくり言ってセックスアピール不足気味なのだけど、何でかつーとキャラ立ての方向性が画面のこっちを向かず、しばしば画面内の仲間を向いてるから。作った人の立ち絵動き説明。

>「キャラクターの個性付け」(るい智だとこよりんのすべるような動きや、茜子さんの謎の動きはこの典型)
http://ruriko.denpa.org/200902a.html#0701d

 おそらくはここ10年以上かけ「お話を語るメディアだから」て言い分で、語り手である男主人公がしばしば画面内に立ち絵で登場するようにもなり、ヒロインの台詞も顔も画面のこちら側に向かわない率が増えてるのがこの手のエロゲの全般的傾向なんだけど(ホントなら台詞も表情も演技も観客と会話相手の両方にそれぞれの意味を伝えるのが作劇の基本だろーという原則論はさておき)、ここだとキャラ立てが仲間内の差異化(シナリオ内での分業)て意味でのキャラ立てになりつつあると見受ける。前に立ち絵が横滑りするなどの平面性を強調した動きになってるのは「軽さ」の表現じゃないかと書いたと思うが、こよりんの動きが全体の中での「息抜き」の要素を請け負い5人ないし6人の関係の中で映える形で「個性付け」されている構成に象徴されるように、各キャラのアピールが画面のこっち側より画面上で隣に立つキャラクターへと向かう度合いが高まってる。ヒロイン全員が仲間であるような共同体を描いてるのだろうから当り前なのだけど、その結果として画面のこちら側は弾かれ、なんか折角の仲間関係ぶっ壊してまでヤっちゃうのイヤだな、という程度のセックスアピールしかないキャラが並んでしまい下半身に訴える手法での先が続かなくなってる。