続き

 ゼビウスのシューティングとしての特徴は二種類の攻撃を使い分けることだが、マリオもまた肉体攻撃と飛び道具の二種類の攻撃を使い分ける。マリオから眺めたとき、ソルバルウの地上へのブラスター攻撃は実は「体当たり」、マリオのパンチやキックに近い。もっといえば自機はポインタやカーソルの変形で、いわばアイコンで特定箇所をクリックしてリアクションを楽しむ(マウスカーソルでビーチクをいじるとか、魔女の印を探してポインタで女の子の身体をつつきまわすとゆーよーな)のと同質だ。

 自機がポインタとすれば、ゼビウススーマリも、自機からの視点や、説明書で「あなたは指揮官となって部隊を動かします」のようにプレイヤーの位置づけを決めておくといった作品内視点の設定(ゲーム内でのプレイヤーの立ち位置を作り手側で用意する)を超えて、プレイヤーとプレイヤーの正対する画面とのダイレクトな関係が構築されてることになる。これについては2作品を特徴付ける「隠し要素」が、ゲーム内主人公キャラの視点からでは見えず、プレイヤー視点から見出される要素であることが傍証となる。

 一方で、シューティングの弾での攻撃は、自機と敵の相対的な位置関係の軸が参照される。

 スーマリファイアボールが採用されたのは、画面が固定でないための自機と敵との関係の再構築によるものではないか。スクロールは自機の右への移動で行われるが、自機の移動と画面の移動を完全には一致させず画面内における自機の移動の自由度を確保するシステムを用意したため、自機がけっして行くことができない画面右側が不可侵の領域(つまり、ゼビウスの「地上」の次元にあたる)になってしまう。そのアンバランスな画面構成に干渉する飛び道具としてのファイアボール(例えば、ソニックは飛び道具を持たないかわりに画面スクロールは後戻りできない強制ではない)。この流れをシューティングの見地から遡ると、シューティングの相対関係性の構築の軸が確保されることでゲーム盤の不動性が崩され、スクロールの余地が成立した、となる。

 一見して二次元平面ひとつでしかない画面に、地上と空中、右画面と左画面、異なる次元それぞれにAB二つのボタンで働きかけるシステムは自機を交点としてプレイヤー視点と自機視点のズレへと分かたれてこちらに伝わる。

 つづく。