コードオタク 秘密の乃木坂春香

 ギアスと同じフォルダに分類されます。

 オタク趣味とゆーのは乃木坂作品世界においては異能力なのだと気付いたとこで毎回ゲラゲラ笑い通しでした。人間関係や生活世界の全てがアンリアルに構築された中で、オタ関連だけが極めてリアルに、というか現実世界の実名を変名にせず使用しまくり、写真そのままトレスした現実世界でのアキバの風景を描写するギャップがつまり異世界ファンタジーとしてのリアリティの基盤なわけですが、これはつまりオタク趣味がギアス能力、アキバはギアス教団の本拠地、コミケがCの世界となってる。実によく出来た邪気眼溢れる設定です。

 ギアス能力は「毎日が日曜日、学校の中に遊園地、ヤな宿題はゴミ箱に捨てちゃえ」という傑作MAD「おジャ魔王ルル」の歌詞の通り、魔法少女物における魔法の力に他なりません(だからギアス能力とは何なのかの説明は一切なされない)。乃木坂春香におけるオタク知識もまた然り。魔法の能力を知られてはいけないようにオタク知識の持ち主であることを知られてはならない。そのかわり派手な透過光や変身シーンバンクの説得力のようにしてオタク知識のリアリティが半端なく現実的な知識を介して描写される。そーゆーのを基盤に超絶に地に足のつきようが無いアハハウフフ能天気ボンクララブストーリーが描かれる、この破壊的快楽はちょっと桁が違う。ゴロゴロ転がって悶えまくった挙句に狂ったように笑う以外の受容姿勢を思いつきません。

 いや実際、童貞ドリーム丸出しとはよく言ったもので、最終回のセレブとの対決で暴かれるのは、この現実に良く似たアキバ系という言葉が通用しつつオタクバッシングが当り前の世界においては、つまりアレよ、村上隆とその一派によってバブリーな金額でダメフィギュアをセレブに売りさばかれたりしてない。技術や文法的には全く新しいことやってないけど、トレス背景やオタク業界やオタク同人世界の内輪受けネタの使用法を突き詰めていった批評的な方向性(キャラのお色気の考え方含む)もギアスの製作態度とほぼ同じ。傑作とは口が裂けても言えないけど、クレバーな良作でした。