どんなものにでも価値も必然もあるのです。

>個人サイトで「つまらなかった」と書く必要はない。
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20080325/p1

 個人サイトで「つまらなかった」って感想を書くのって、割と必要なことだと思う。まず、そういう感想が目につくことで、「批判的な感想は建設的じゃない」といった記事を書く人が出てきて、それに同調したりしなかったりする書評サイトがそれなりの数だけ出てくるわけです。

 で、「批判的な感想を書くべきじゃない」というのは感想やレビューという文章に対する批判で、つまり「作品は批判しても仕方ない」「レビューなどの文章は批判したほうがいい」「個別の対象を非難すべきじゃない」「抽象的範囲については批判してもいい」という個人的な分類とそれに基づくダブルスタンダードがそこで設けられてる。

 つまり批判的感想文の批判をしてることで、文章や絵や何がしかを巧拙や魅力といった要素で判断する前に割と規範的な手法で「批評に値する対象か否か」に分類してて、なおかつ、その分類基準・ロジックがそのサイトの書き手の内部には存在しないことを示してくれるわけです。そうしたとこで採用されてる規範や分類基準は、古典や教科書でその価値観や倫理が成立した背景や論理を含めて解説してるのを読んだほうが手っ取り早いわけで、また、そうしたサイトにおいては作品内容については全く触れず、古典や教科書で読めば判る価値観や倫理観しか触れませんから、とりあえず内容や論理展開は読み飛ばしても全く構わないという判断がつく。さらに、こうしたサイトの幾つかで取り上げられている作品名を定期的に把握しておけば、とりあえず「ネットでの流行」みたいのが判るわけです。

 つまり、「つまんなかった」という感想を書く書評サイトがコンスタントに出現し、それに対して「批判的な感想は建設的じゃない」という意見が何年かに一度でも定期的に出てくることは、ネットでの情報収集にあたり間接的ながらも非常に有用である、といえます。