塵骸魔京あらかたネタバレ 3

 未成年をメインとした話における主人公や語り手における「親の不在」は単なる作劇上の都合にすぎない、とは「となりのトトロ」に関する宮崎駿の弁だが、エロゲーも基本はそんなとこ。「なぜ親がいないのか」より「なぜ学生という未成年を題材に据えるのか」という話題になるが、最大の要因としては学園が異界であり学生は異界の住人だから、となる。

 で、母。

 ヒロインが「母親」てのは言うまでもなく水月があって、あれは読みようでヒロイン全員が母だったりするのだが。義母ものは幾つかあるが、まだプレイはしてない。「ヒロインの母」てのはいくらかやった。漫画だと母子相姦はチョコチョコ見かけます。

エロゲーは妹か母を犯さないと話がはじまらないが、妹や母を犯してしまったら話が終わる」と最近は考えるようになった。性交したなら女性は全員が母である、という言い方もできる。
 にもかかわらず、「妹大全」「姉大全」「ツンデレ大全」「メイド大全」はあっても「母大全」は出さないのだな、てのがあって。需要ないんだろうなぁ。

 話を戻して。母親は排除されなければならない、僕が固有な僕であるために母親は必要ない、みたいな。成人していつまでもマザコンかよ、と言い換えると当り前に聞こえるけども、その「当り前」のことを投入するのは何なのか、ていうと「大人にならなきゃ」が浮き上がってくるのだが。「母は排除しきれない」となると、目指すべき大人の定義が揺らぐ。

 選択肢の問題。
・頷く  ・「でも……もしかして」

 ヒロインの母親の役割を肯定し、消えるにまかせるのが左の選択。母親から母親の役割を取り上げ、自分が受け継ぐのが右の選択。右では、ラスボスとの決着がつかず、永遠のモラトリアム(どっちつかず)を生き続けることになる。

 エロゲーシナリオにおいて、一人のヒロインだけが母を請け負うことの妥当性が問題なのだが。じゃあ、他のヒロインは母ではないのか? とか。さらには、男であっても、自分もまた母ではないのか、とか。そのへん。皆、なりたくないんだろうなあ、母。マナマナシナリオが嫌とか普通に言っちゃうのを見てる限り。

 ああ。一人の完全な母を求めるてのは、母を彼女だけに押し付けて自分は無縁でいたい、てのでもあるね。そのためのヒトガタ、か。