永遠どうこう

 長森のシナリオのアレも合わせて、やっぱ「永遠」は麻枝准だけではどうにも成立しない。

 浩平が繭の幼さに「対等」であるため七瀬の髪にいたずらしかけるレベルの「幼さ」は必須で、つまり長森と繭は浩平を挟んで向かい合っている。実際の子供がどう成長し大人になるかとは別の次元で、浩平の挙動を全て許容する長森という「大人」の在り方も、浩平の挙動を許容し得ない我々を見出す繭という「子供」の在り方も、取り繕いようがない断層がある。大人と子供の間を繋げる方法について、根性努力成長で全てが解決する高度成長期神話、イマドキの物言いで言えば勝ち組の論理でしか語れない。ここにある悲しみは、枠組みが決められた上で枠組みから外れていると嘆く悲しみだ。有限のセカイであることを了解した上での永遠。

また、ぼくはこんな場所にいる…。
悲しい場所だ…。
ちがう
もうぼくは知ってるんだ。
だから悲しいんだ。
(悲しい…?)
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
(たくさんあそべるのに?)
うん。
いらなかったんだ、そんなもの。
(どうして?)
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
(わからないよ)
わからないさ。
だってずっと子供のままだったんだから…
………。
……。
…。
うあーーーん…
うあーーーーーーーんっ!
泣き声が聞こえる。
誰のだ…?
ぼくじゃない…。

(略)

今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
いらなかったんだ、そんなもの。
(どうして?)
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
(わからないよ)
わからないさ。
だってずっと子供のままだったんだから…
キミは…。



 何だよ、その押し付けは。

 結局、用意されたゲーム展開の枠組みを了解した上で(それはつまり「選択肢のない袋小路」を合意することでもある)何度もやりなおして、どうにか枠組みを把握していく、プレイヤー側の攻略の意思によってしか、この話は繋がらない。当時でも「難易度が高い」と言われていたような形式は必須だし、一瞬だけ繋がって、そしてまた遠くへ離れていくようにしか機能しない。プレイヤーに要求される役割をどうにか肩代わりしてくれていたのが久弥分。

 まあ、10年近く前から語りつくされたことの再確認でしかないわけだが。二人セットで機能する組み合わせ。