遠藤浅蜊『魔法少女育成計画restart(後編)』(宝島社KL!文庫)

魔法少女育成計画 restart (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 restart (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

・シリーズ1作目の感想 http://d.hatena.ne.jp/tdaidouji/20120626
・シリーズ2作目、前編の感想 http://d.hatena.ne.jp/tdaidouji/20121111

相変わらず地味な話です。人はたくさん死にますし、戦闘は激化の一途を辿りますが、ラノベらしい華のある描写とはなりません。推理劇もあっと驚く真相というより誰もが望んでいなかった結末といった体裁。むしろ浮わついた諸々を地べたに引きずり落として、それでもなお輝く何かを描き出そうということで、キャッチーな材料にもかかわらず、相も変わらずやってることはひたすら正攻法です。
縦糸にオンラインRPG、横糸に推理劇(というか人狼http://nanapi.jp/37796/)ということでゲーム小説の体裁。元々が無理がある魔法少女同士の殺し合いを「ゲーム」という力業でありそうな形に持って行くにあたり、読者に納得させる糸口は良くも悪くも現在進行形的で5年後10年後に説得力があるかどうかは定かではありませんが、逆に言えばそれだけ綺麗に時代を、日本的な、サブカル的な何かを切り取ってみせたと言えます。30年後40年後には本作の浮つかない描写がこの時代の世相をのぞき込む糸口となるでしょう。