(ペ)を甘く見ていた時期が私にもありました

 92年横浜SF大会だったと思う。SF大会初参加ということもあって不慣れだった自分は、ついフラフラと(ペ)の部屋へ迷い込んでしまい。

 中ではスライド上映会が開催されてて。シリーズ内のワンシーンをCGで描いた作品が上下2m以上の巨大スクリーンに投影され、製作者が傍らで「太陽系外周を航行中のクレストIVです」といった説明をしつつ、次から次へとCGを見せてくれたのですが。

 えー。

 常識とは思うが説明すると、シリーズの地球勢力の宇宙船は60mサイズも1kmサイズも、どれも「完全な球形」で。バックは星を散らした宇宙空間で。しかも「球形の宇宙船が最も理想的な形態であり、完全な球形宇宙船を作ってるのはかつての銀河系の覇者アルコン人とその後継者である地球人のみ」とゆー、いわゆる「(ぺ)ってさ、ナチの優性民族思想バンザイっぽくね?」と言われる類の、シリーズ上とても大事な設定と結びついた描写が作中でなされてて。

 そーゆーのが宇宙空間に浮いてるのを、続けて何枚も。

 当然サイズもスケールも全くわかりません。CGのどの部分で宇宙船の区別をつけていいかわかりません。説明の方では時々赤道線上に配置されたチミっちいギミックの付け足されてる部分について熱心に語られているのですが、正直そこでどう反応していいか判りません。実際の自然研究や実用娯楽名目の技術の発表なら内容は理解できなくても各々の必然や動機が存在することには同意できます。同人誌の手書きの絵のコピー誌だったら熱意も伝わりやすかったのかもしれません。でも、コレは。この領域は。

 一生かけても本物のマニヤの領域には辿りつけないと思い知らされた瞬間でした。

 のですが。

>この手の貯水タンクの写真をたくさん撮影してきたことを思いだしました。
http://d.hatena.ne.jp/rulia046/20090120

 プロは「マニヤの領域」で理解不能と投げるのでは済まされないのだなと、17年後に思い知らされたのでありました。