神のみぞ知るセカイ3巻

 3巻目メタ編突入。

http://www.afpbb.com/article/1174867

 先日のニュースが流れたとき、イマドキの若オタな人たちの多くが上の写真を想起したのだろう。僕もまた彼女のイラストを見かけるたびにニュースサイトの記事と結び付け、兵士にレイプされ自動小銃で穴だらけになり爆撃で黒く焦げついた彼女の肢体の妄想を弄んでみたりもした。もちろん現実の彼女は僕の妄想など関係なく元気に生きているのだろうし、そうでないにしても結局僕と彼女の現実は酷く遠い。どれほど距離と時間を超えた人類的世界的な普遍の繋がりを強調してみせたところで、現に僕が何をするわけでもない。

 アイドルとは何かといえば、モニターの向こう側にいる少女だ。現実に近付こうとすれば遠く、モニター越しであればこそ最も近づける、距離感覚の錯誤によって生じた近しさと遠さの入り混じったヒトガタ。では、透明な遮蔽板を取り払うことを僕らは望んだだろうか。川名みさきと結婚するゴールインを求めたギャルゲーマーが現実にどれほどいたのかは知らない。永遠とやらもどうでもいい。モニターの向こう側の少女、彼女がただ彼女でありさえすればいい。勘違いされないように念を押すが僕が言うのはレイプされ穴だらけになり黒焦げの肢体を千々に引き裂かれても、あるいは愛する男と口づけを交わしながらの限りの無いまどろみに身をおいても、そのどちらであっても構わないような何かについてだ。

 かつて誰もが桂木桂馬と同じ台詞を口にしていた時代があった。けれど、その誰も、実は女の子はどうでもよかった。というより、途中でどうでもよくなった。引っ掻き回し、弄り回して、挙句の果てに女の子をループの牢獄に閉じ込めたまま放り出して逃げた。彼らはモニターのガラスを砕くことばかりに労力を費やし、破片に映る女の子の姿を見落とし踏み潰していった。彼女はそれで構わなかったから何も言わなかった。僕は何もしなかったし出来なかった。