映画Vフォーよりルパンやコードギアスのが筋通してる

 劇場版『Watchmen』の監督が『300』『リメイク版ドーンオブザデッド』の人だと知り、スチールとトレーラー見てアチャアとションボリ気味。原作ファンなんて、中年体形に往年のヒーロースーツを纏ってるかっこ悪い姿を見たい奴しかいないんじゃないかと思うんですけど。

 ロールシャッハテストの覆面をしたヒーローが作品のキーなんだけど彼と精神科医との会話はカットされるんだろーなーとか。国家に協力するつってベトナム戦争に従軍したヒーローてのが悪役面に描かれつつ「彼が一番物事を判ってたし大人だったんだよ」みたいな会話してたのが「彼が<正しかった>のだよ」とゆー話になりそーだなー、とか。とっとと諦めてCGマッチョ物だと割り切れば、それで済む話なんですけどね。アメコミファンならとっくの昔に達観してるところに今さらながら躓いてるのでした。

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http://d.hatena.ne.jp/hiyokoya/20080901#20080901fn3

 まともなフォローできなくて申し訳ないですが。で、何故 Watchmen 思い出してたかつーと、心理学てフレーズで精神科医の「これがただの紙の上の染みに過ぎないことに気付くのが最も恐ろしい」てな独白を思い出したからでした。

 つまり、単なる妄想なんだけど一番怖い可能性というのがあって。十分に訓練されてない市民兵の発砲率が低いという研究を受けて、どこまで有効な研究であるかどうか検証するより先に心理プログラムとゆーのが一律に「発砲したがらない、人を殺したがらない正常な人間」と「強制的に戦争の<狂気>に対応させた兵士」の二分割をそれぞれの個人に当てはめてったことが、ベトナムでPTSDに至る最も大きな要因になったのじゃないのかなー、という。合衆国の心理カウンセラーは精神病患者を作るのが仕事なんじゃないの、という偏見の応用でしかないのだけど。

 あの本、一々「社会に適応しない生まれついての真の殺人者が僅かな数ながら存在してて、彼らは訓練しなくても人殺しができる」とか書くでしょう。発砲率の話も「普通の正常な人間は、戦場においても人を撃てないのだ」ていう、その「正常」を押し付けてくる根拠付けとして使ってくる。「戦争は異常事態で戦場は異常な場で日常とは違うのだ」てのが人間の正常と異常を峻別する根拠となって、「戦争を知らない世代」コンプレックスな人たちがそれをアッサリ受け入れてるのでは、という素朴な疑惑が拭えず。