続き

 まず、マルチヒロイン・マルチシナリオのアニメ化で大きな問題として考えられている、シナリオごとに過去の記憶が矛盾しているとか設定が変わっているようにしか見えない、といったことはない。これは一見すると「Kanon」などのアニメ化と比較して問題が大幅に減ったように思えるが、実際はそう簡単ではない。主要登場人物間の密接な関係は個別シナリオでも継続しており、また個別シナリオでの物語展開の種子は共同体生活の開始と密接に絡む形でシナリオ開始前から用意されている。平たく言うと、男性主人公はヒロインの抱える事情を最初から知っており、それらはやり過ごせる事情としてヒロイン、男性主人公の双方から捉えられている。こうした割り切った態度を前提とした共同生活が変化し恋愛関係が進展することで、ヒロインの事情は初めて問題として発露する。逆に言えば、二人の関係が進展しない状態で各ヒロインの原作主要エピソードを扱えば、共同生活の設定レベルでの破綻を招くことになる。

 とりあえず今日はここまで。

・結論1

 原作の各ヒロインの主要エピソードの単純な陳列は設定を破壊する。