前にも書いたけど

那波シナリオは、シナリオだけを抜き出すなら

http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=473384&log=20060905

で書いてるTVアニメ版ハルヒの構成と、やってることは大体同じようなことです。

あるいは、アシュタサポテで解説されている『ONE』の構図の裏返しだと考えてもいいです。『ONE』の裏返しが『Kanon』で、『Kanon』をもっと推し進めて徹底させたのが『水月』ですので。

いわゆる過去から未来へと続く不可逆の時系列は、「積み重ね」という見方にあるように、階層的な捉え方だと考えられます。で、様々な並列世界をめぐりゆくのは、当然、並列的な捉え方です。序盤、夢の世界と現実世界を行ったり来たりするのを上下の縦の移動だとすると、シナリオがある程度まで進むと移動が次第に横倒しになるんですね。で、ノベルの文章というのはナラティブなものですが、主人公の一人称として綴っていくことで、横倒しになったのをまた縦にしていくわけです。

マヨイガが歩いて行ける地続きの場所として記述されるのが、要するに『ONE』の雲ばっかりのエイエンノセカイとの違いです。えーと、神話によって、死者の国を、海の向こうの島とかの横方向の移動で表すのと、空の上とかの上下方向の移動で表すのとの、組み合わせの問題です。洞窟に潜るのは上下方向の考え方ですけど、マヨイガ自体は地下空間とかじゃないでしょ。『水月』は未分化である可能性も残している。
なんでしたら、鳥と蛇て言い方も可能なんでしょうけど。別に、どちらか片方が片方を排除するわけじゃないです。実際、タテヨコタテヨコ、変わりますし。ウサギ風船が飛んでくときは上下方向ですし、夢の中で会うときは別世界ですし。ちょっとづつ、ねじれてつながってく感じと、ちょっとづつ、途切れてバラバラになってく感じと、両方がいろんな形で組み合わさってく。