映画『Silent Hill』

上映はもう終わってます。
ローズ・イン・タイドランド』で主役のローズを演じたジョデル・フェルランドがこちらでも大活躍。*1実を言うとこっちを先に見てた。
近年売り出し中の若手監督によるゲームの忠実な映画化ということで、3Dのゲーム画面にそっくりの街並みにそっくりの構図が再現されていると評判が高く、実際、その点については文句ナシに良く出来てると思います。
で、個人的に面白かったこと。
映画を模した視点の3D画像のゲームを、ゲームに忠実に映画化するとどうなるか、という問い、に対して一つの回答を示している。ゲームを巡るメディアミックスに興味のある人はDVDが出たら見ると吉かも。

以下ネタバレ。

映画では、二つの世界を交錯させ、それぞれの世界の主人公(娘を追う母親と、娘と妻を追う父親の二人)が交互に物語を展開させていく、という形をとっています。おそらく、父親の「現実の時間の世界」は映画の時間の世界、母親の「ゲーム画面に忠実な美術を再現した彼岸の世界」はゲームの世界というふうに、映画の時間とゲームの時間が分担されている。
母親側の世界は、おそらく故意に「ゲーム空間」として作られています。あからさまにゲームのイベント進行を思わせる手がかりの配置や唐突なモンスターの出現、それらを追いかけてゴールに辿り付いてみればゲーム(試練)だったと知らされる展開。自らの死を受け入れられずサイレントヒルに留まりつづけようとする人たちの描写は、ゲーム世界=時間の止まった世界という解釈と、おそらくは接続しています。
映像としては原作ゲームの「映画的」なゲーム画面を再現しながらも、その映像は映画の時間進行とは完全に切り離されている。その映画とゲームの断絶が、そのままラストシーンに繋がっていく。
僕はバイオハザードあたりの既存の3Dゲームの映画化作品は見ていないのですが、ネットの評価を見る限り『Silent Hill』における原作ゲームの扱い方は非常に優れている気がします。

*1:ちなみに、「タイドランド」は15禁でこっちは12禁。ジョデル・フェルランドは「タイドランド」撮影時10歳。「タイドランド」は(想像するに幼児性愛描写がらみで)アメリカでは上映されてません。