「断章のグリム」言及

何かエロゲ的問題意識と繋がるかもなあ?
http://d.hatena.ne.jp/rulia046/20060624/p6

ラノベ(つーか、小説全般)の文脈がわかんないので、「ここはエロゲだ!」とか指摘すると恥をかく可能性大なのです。オチのあたりだけ読んでると、確かにエロゲー論壇な面子がいかにも書いてそうな「能力」やなー、とは思いますけど。
僕は選択とか物語とかいう話、別に「エロゲ的問題意識」だと思って文章書いてるわけじゃないんで。それこそRPGでも小説でも映画でも何でも同じというレベルの必要最低限の話なのに、ノベル系エロゲーだと何故か忘れ去られてる、ていう。
 
断章のグリム」について、その他のアプローチ。
主人公の能力読んでて思い出したのは、ジャンプの『BLEACH』の井上織姫でした。「私は拒絶する」て言葉が能力の発動になってる。
んで、織姫の能力は多分、『うしおととら』の井上真由子の結界能力が元ネタだろうと思うんですが。(男の主人公の喧嘩っ早い幼馴染とコンビ組んでる、てあたりも含めて)
両井上は一般人として登場しながら妖怪や霊との親和性が高く、異界と現世を区別せず、作品世界で主人公が戦う「敵」の勢力と戦わない、ていう非暴力路線的な属性が与えられているわけですが。そんで、彼女達は絶対的な「囲い」を作ることができる。
これを、人と人に近しいもの/人にとって受け入れられないもの、として再分類するのが彼女達の役割、と考えてみる。すると思い出すのは大塚英志森美夏『木島日記』だったり。
『木島日記』の木島平八郎は「あってはならない物」と「あっていい物」を仕分けする「仕分け士」で、普段の職業が古本屋。で、折口信夫を絡めて昭和初期のオカルトな代物を毎回取り上げ、正史と偽史、科学と擬似科学を仕分けていく。
えー要するにこれ、京極夏彦京極堂シリーズのパクリです。京極堂の憑き物落としがボーダーラインの調停役で、一作品にひとつ、必ずお約束的に、非現実的なガジェットを事件の中心に据えることで調停の暫定性を留保してたことを思い出してもらえると助かる。*1大塚英志はその枠組みをそのまま借りて、むしろ京極堂の役割をパロディ的に扱うことで「現実」の範疇に当り前の顔をして紛れ込んで誰も異議を差し挟まない「非現実」を差し出してみせます、みたいなことをやりたいんでしょうけども。大塚英志をまともに相手すると面倒だから、あまり深入りしたくない話なんですが。
で、甲田学人という人はぐぐってみる限り、オカルトネタや民俗学ネタが本領らしいですから、どっちかというと京極夏彦大塚英志の、現実とフィクションとの境界線はどこにあるのかを問い掛ける系列なんじゃないかな、と。
連想をあちこち飛躍させながら。
なんとなくまとまらず。

*1:推理小説の推理てのは不可思議を常識的な人たちが納得できるひとつの物語に纏め上げ、現実を揺るがせる事柄を葬り去ることです。真実を発見するのが目的じゃない。真実を見てしまう榎木津はだから推理を披露しない。