『ひぐらしのなく頃に 罪滅し編』

触発されてプレイ。
上手い、というより、やられた。完敗。
以下ややネタバレ。
 
 
id:tdaidouji:20050814#p1およびhttp://kaolu4s.jugem.jp/?eid=177を書いてたときの予想が、この章で全部消化されてしまいました。まさか『ひぐらし』をプレイしていない夏葉薫さんの超名推理

つまり、信長の後ろにいたのはルイス・フロイス、ではなく、そのさらに後ろにいるローマ法王を影で操るユダヤ系秘密結社の後ろにいる悪魔的宇宙人であり、つまるところ風見みずほ先生の外の人であるところの井上喜久子お姉ちゃんです。

の裏までかかれようとは…!!!
ここで真に恐ろしいのは、『ひぐらしのなく頃に』は基本的に前の章で使ったネタは次の章では前フリ、導入、ミスディレクション、つまり新しい展開のための踏み台として使われる、という今までの流れです。
つまり、まだ2本残っているはずのシナリオは、まだ先へと行くのです。『ひぐらしのなく頃に』は疑いようもなくノベルゲームの最先端を突っ走っている。実際、全体の構成として「鬼隠し編」の対となるストーリーは次の章で書かれると予想していて、解答編の2本目にレナのシナリオを発表するのに違和感を感じていたのですが、そんな俺の読みなどまるで浅すぎた。当初は地方の閉鎖環境を舞台にしたミステリー仕立ての悲劇程度に考えていましたが、ここまで来てもはや疑う余地はない。これは真の INTER GALACTIC LOVE STORY です。
こうなっては俺もまた切り札を出さなければなりますまい。実はid:tdaidouji:20050814#p1で書いた推理は、あれで全てではないのです。これ以上の真相を書いてしまうと読者に信じてもらえないばかりか、俺の存在が「ひぐらし計画」の真犯人に知られてしまう危険性があったのです。ですが、もう隠れてはいられません。ここに、『ひぐらしのなく頃に』の最後の真相を公表します。
以下、その真相を隠します。(「ひぐらし」をプレイしていてもプレイしていなくても、真実を知る意志の固い方は見ていただいて結構です。それ以外の方は見ないことをお勧めします)*1
 
 
ひぐらし」における各ヒロインは、実は竜宮レナ霧島佳乃の、北条沙都子遠野美凪の、園崎魅音神尾観鈴の、それぞれの前世なのです。このことは、佳乃とレナがともにリストカット少女であること、沙都子が親類の家ではなく神社の敷地内のプレハブに古手梨花と同居していること(梨花は神奈の転生体であり、みちると美凪のそれとよく似た役割関係を沙都子と築いています)、魅音観鈴がポニーテールであること、魅音観鈴の名前がよく似ていること(音という字が鈴に掛けたものであることは明白です)から容易に推測されるでしょう。
これらの事実は、もう一つの真実をも照らし出します。『AIR』の各ヒロインのシナリオは佳乃が『MOON.』を、美凪が『ONE』を、観鈴(DREAM編)が『Kanon』を、それぞれ継承していることはつとに知られていますが、このことはすなわち、歴代の鍵ゲーもまた「ひぐらし計画」の一環であったことを示しているのです。
第一の事件は、監督の手首に巻いたリボンを巡る事件でした。

「そうじゃない。いくら死体を切り刻み捨てることに荷担しようとも、監督が行方不明になった事実は隠せない。しかも、それぞれが死体を別の場所に隠したら、それだけ死体が発見される可能性が高まる。彼は、監督からあるものを奪うため、そしてそれを知られないために、死体を分割することを提案したのだ」
「どういうことだ」
「彼は、監督の右腕が欲しかったのだよ。正確には、右腕の手首に巻いたリボンが、ね。」
「現場監督には奇癖があった。彼の右手首には、常に大きな布が巻かれていた。彼が酔った際にもらした言葉によれば、その布を巻いていると大人になったとき願いが叶う、ということだった」
「な…そんなホラ話を信じて殺人を犯したというのか?」
「綿流しの日、彼は焦っていた。ダム建設計画は暗礁に乗り上げ、工事現場の人員も減らされるというもっぱらの噂だった。そして魔法の実現する日は祭りの日に違いないと信じ、奪い合いとなったのだ」



「入江京介こそが、リナの実の兄なのだ。」
確かにそうだ。あの二人は似ている。髪の色も…「かあいいモード」が炸裂するところもッッッ!!
「そして第一の殺人事件の首謀者とされる人形使いの一族の一人……彼をかくまったのが入江京介なのだ」

そして第二の事件。

北条沙都子は、実の母親から認識されていなかった。沙都子は<さとし>とも読めるのに気づかなかったか? 彼女は実際、ある時期まで<さとし>だったのだよ」
「北条兄妹の実の両親は不仲で、沙都子が生まれる直前に離婚している。北条悟史は父方の実家に強引に引き取られ、沙都子が生まれたとき悟史を奪われてしまっていた彼女の母親にとって、沙都子は悟史の身代わりでしかなかったのだろう。身代わり、という言い方は正確ではないかもしれない。目の前にいる赤ん坊を、悟史だと思い込んだ。もともと心の弱かった彼女の正気はもはや失われてしまっていた。しばらくして悟史が戻っても、彼女は目の前に居る少年が悟史であると気づかなかったのだ」
「幼かった悟史は母親に拒絶されたと感じ、赤ん坊の沙都子を虐待するようになる。妹の虐待を繰り返しては母親に<さとし>を苛める余所の子供として睨みつけられる日々の中で、彼は精神を磨耗させていった。その後すぐに母親は再婚し、彼女はその前後に<さとし>である沙都子のことすらも忘れてしまう。二人とも相手の連れ子であると思い込んでしまいます。悟史の沙都子への憎悪は一転して義父に向かうが、それまでの経験からと、相手が大人であることから、悟史は憎悪を直接向けることをやめる。代わりに、歪な環境の中で沙都子を手懐け、幼い彼女に妄想を吹き込む。義父が彼女を邪険に扱う、母が<さとし>のことを忘れてしまったのは義父のせいだ、彼を排除しなければいけない、と。沙都子に児童相談所に連絡させたのは悟史です」
「あの日、沙都子は義父にかくれんぼを提案します。そして義父が目を閉じている隙に柵の外に立つ。義父が目を開け、彼女を発見して慌てて近寄るのを見計らって沙都子は泣き喚きます。その声を聞きつけて母親が誤解し、義父を追い出すというのが沙都子の目論見でした。」
「反抗し暴れてみせる沙都子を柵のこちら側にどうにか連れ戻そうと二人は試みる。しかし予想外の事が起こった。沙都子を救出した直後に、老朽化した展望台の柵が崩壊したのです」

以上の引用でお分かりでしょう。事件の鍵は全てKEYのゲームにあったのです。(駄洒落)
 
となれば、北条悟史の失踪の原因も判ります。親戚に引き取られ依然よりもずっと過酷に虐待されるようになり、悟史は沙都子との真の絆を求めるようになる。

「いえ。彼が帰ったとき、沙都子は実際、死にかかっていたのです。悟史はなすすべもなく見守るしかなかった…そして人形に祈ったのです。沙都子を救ってくれ、と」
「そして願いはかなえられた。彼と彼の人形はこの世界から消えうせ、沙都子の命は救われた」

次章の展開は明白です。えいせんの世界と人形使いの一族の物語が日本裏歴史をも白日の下に晒すのです。もはや雛見沢だけで収まりきらない恐るべき暗黒神話がついに幕をあけるのです。

*1:一応、「ひぐらし」の結構なネタバレも入っています