「サマー/タイム/トラベラー」

帯の煽り文を抜書きしておこう。なんとなく。万が一にも重版されて店頭で帯を見れなくなったときのために。
1巻

あの夏、彼女は未来を待っていた
時間改変も並行宇宙もない、ありきたりの青春小説

2巻

夏の終わり、未来は彼女を見つけた
宇宙戦争銀河帝国もない、完璧な空想科学小説

主語が別ですね。「彼女は」と「未来は」で。
以前に新城カズマの小説には複数の主人公がいる、と書いたことがあって。「星の、バベル」がらみのときに、「蓬莱学園の犯罪!」あたりを指して言ったんじゃなかったかな。
ただし、蓬莱学園のシリーズの場合、ネットゲームとしての蓬莱学園を巡る物語、と読みます。
私あたりがスニーカーやファンタジアを念頭においてイメージするライトノベル、つまりゲーム関連小説(ゲームに歴史的起源を提供する小説、ゲームの素材を提供する小説、ゲームを補強する小説、ゲームのパロディ小説、ゲームを描く小説、ゲームメディアの表現領域を小説化する小説、ゲームとメディアミックスで稼ぐ小説、等々)のひとつとして蓬莱学園のシリーズを考えた場合、「初恋!」はゲームプレイヤーとして待遇を保障された蓬莱学園生徒をサポートするために用意されたNPCへの思いを「二級生徒」の名前で顕在化させた、言ってみれば「ロボットに人権はあるか」話のバリエーションですし、「犯罪!」は強力なPC同士の正面衝突を中心に、ギャンブル=ゲームに興じるPCたちによってゲームの舞台である学園フォーマットが崩壊していく話、「魔獣!」は学園=ゲーム世界と学園の外部が接触する話(ゲームを維持しようとする者とゲームから降りた者に挟まれながら)、「革命!」は…たぶん、ゲーム世界でゲームキャラクターとして生きることを決意したPCの語…かな…これはわからん。
まあ、別にゲームという言葉に拘らなくても読める小説なのですが。
オチなし。