大洗の下手な写真とか

3月30〜31日に行ったときの話。
先に食事しまして、


偕楽園に寄り道してから大洗に入りました。
ちょっとルートを間違えたせいもあって、まず実在の大洗高校をかすめて、このアングルの見える道に入ってった。
今回、文明の利器とゆーことで、初めてPSPに全話つっこんで画像を確認しながら見て回ったのですが*1、このアングルからの視界で改めて学園と町の区別というのが意識させられた次第。
んーとつまり、木崎湖鷲宮や、あっちゃこっちゃには足を延ばしてるんですけども、たとえば、おねがいシリーズにしてもらきすたにしても、あるいは今の背景画像特定のブームの先駆となったエロゲギャルゲのそれにしても、街並みというのは、登場キャラの生活空間なのですが、大洗に関して言えば違うわけです。アニメキャラ達は学園艦で生活してて、大洗は試合の場、あるいは買い物しにいくところ、としてある。
作品の方向性の違いってのがあります。まずエロゲギャルゲは戦車で戦闘しないし。戦闘するにしても市街地で戦うとかやらんし。じゃあ、おねがいシリーズの沖縄旅行のように出かけた先の背景の元ネタを探しに行くのはどうかというと、それだと、ちょっと「聖地」っぽくはない、ですよね。もっといえば、鷲宮や今回の大洗のように現実の町と一体となって盛り上げるにしても、旅行先ってのはない。するとエロゲギャルゲを受けての「日常」や「田舎」の風景という系譜と、大洗の町と作品との関係は、少しばかりズレがある。
それを改めて強く受け取ったのが、大洗駅の垂れ幕でした。

こういうのがあると知らなかったので、じわじわと、しかし非常に強く、衝撃を受けました。
最初は、さっき通りがかった実際の大洗高校かと思ったんですが、よく見ると違った。そして、このズレがズレじゃないことに気づいたわけです。
アニメキャラたちの「学園」は大洗の町の中にはない。それは実際の大洗高校が山の上のほうにあって、商店街のある町並みからけっこう離れてるというのと同じで、学園生徒と町の住人とでは隣り合っていても生活圏が一緒とはならない。高校ともなれば、町の外からも通学してくるわけですし、コミュニティが異なるのは当たり前です。
けども、スポーツで全国大会出場となれば地域が応援するという仕組みが世の中にはある。個人的には日本全国から私立高校が特待生でかき集めたチームで甲子園に行ってるのを「○○県だから」みたいに「地元」で応援なんてのは気持ち悪かったりするんだけど、そういう現実世界での捻じれた状況が、実在しない学園のアニメの中の全国優勝を祝う実在の町という形で、もう一段階ねじれることで、ストンと落ちてきた。
直接つながらないことで、逆に構築される関係というのがある。大洗について言えば、たぶんそれです。
たとえば、木崎湖が作品の舞台に選ばれたのは綺麗な自然を残している田舎の空間だからです。それがアニメで町おこしして盛り上がってしまうとして極端な話、大成功してアニメファン向けリゾートホテルなんぞが建ってしまったら作品の落ち着いた空気や雰囲気が台無しになってしまう。まあ極論ですが、こういう代物はバランス取りが微妙だったりします。木崎湖では結果論として駅舎がファンの集う場として選ばれ、あるいは鷲宮に代表される「痛絵馬の奉納」が流行してるのも、駅や神社という場が観光客を受け入れるのに向いてるからですが、逆に言えば、一般の民家や学校では観光客を受け入れることは出来ない*2。じゃあ観光客が来ても差支えない場所を舞台背景にしましょうというと、そればかりでは作劇が成り立たない。特に「平穏な日常風景」としての背景画像が「聖地」の成立背景にあったのだから、悪くすると無暗な観光案内に終始してhttp://hakaiya.com/20130415/movie-46366みたいなことになりかねない。
でも、実際は、けっこう上手く回っている。
大洗で改めて気づいたのは、ここのところの「聖地巡礼ブーム」の際、「学園」というモラトリアムの箱庭が現実との差異を埋めるクッションとして働いていたことです。学園艦という大がかりなギミックが実際の大洗の街並みと一緒の視界に入ったことで、戦車に乗って学園艦に帰っていくアニメキャラたちと、それを沿道で迎える町の人たちとの生活空間を異にしている関係が明確になった。
彼女たちと彼らは互いに重なり合いつつすれ違い、それでいて大洗の住民は学園生徒たちを快く応援し、勝利を祝ってくれている。それが現実の大洗の町中で行われていても、違和が生じない。祝う先の少女たちのいる場所は学園艦であって大洗の町そのものじゃない。大洗に行ったらアニメの中の彼女たちが住んでいてひょっこり出会うわけじゃないのです。当たり前だけれども、そのフィクションと現実の棲み分けがはっきりしているから、逆に、現実の側が悪ノリしても滑らないのだと思うのです。これが専用の箱もの観光資源が出来上がっちゃうとこまで突き進んじゃうと、また違ってきてしまうと思ったりもするのだけど。



 
まあ、それでも、ほんの少しだけ、普段とは違う場所で、彼女たちと一緒の時を過ごすのも良いんじゃないかな、と思ったりもするのですが。

*1:自分で録画したのを「お出かけ再生」としてPSPに突っ込んでくとゲームに使う十字キーやLRボタンで秒単位での頭出し・スロー再生・思ったタイミングでの一時停止等々が自在にでき、モンハン用の大容量バッテリ積んどけば充電不足の心配もなく、元々が持ち歩く用に作られてることも含めて便利を通り越して「聖地巡礼」向け必須ツールだなーと思った次第。安いし。

*2:おねがいツインズの3人の生活していた家など