リアル・タイム・マシーン展感想

http://realtimemachine.dotimpac.to/
いい感じで時間も経ちました。アンテナ登録数も順調に減ってきたし。(つきあいの長い人は判ってると思いますが、あたしはそーゆーのチェックする人間ですよ。どっかのオタク考察サイトでそーゆーチェック方法を教えられなかったら登録数の増減なんて気づかなかったろうけど)というわけで宿題消化。

詳しい説明・解説はid:hiyokoya:20050705を参照するのが一番じゃないかと。

興味を持ったのは、ずーっと以前にノベルゲームのシナリオ分岐の説明に「リアルタイム性」なる言葉を使ったことがあるから。
id:tdaidouji:20030907はその頃の文章で、時制の錯覚への言及については昔に誰かが書いていたのをパクったんで、たぶん時間をどう扱うかは思想史とかで連綿と続いてるメジャーな問題なんだろうとは思う。「ドラえもん」のボーナスを利子で増やす話とか。戦術シミュレーションでもRPGの戦闘でも1ターンが1ヶ月なのか1日なのか1分なのか10秒なのかでゲームデザインが異なるわけだし、相手の手番の間にもう一方が棒立ちでないように如何にルール上でフォローするかに労力が払われるわけだし。
 
例えば、コンシューマーのSLGやシミュレーションRPGで主流の「戦闘をユニット対ユニットの1対1の戦闘解決の繰り返しとして逐次処理していく手法」と、ボードのSLGで主流の「戦闘参加ユニットの戦力値合計の比で戦闘結果表を参照して同一ターンの戦闘をまとめて解決していく手法」との差は、TV画面ていう戦闘マップ全体を見渡すには小さすぎる出力装置に由来すると想像されるけど、結果としてコンシューマーのSLGにおける時間経過の概念が観念的、抽象的なものになったと言うこともできる。そうして「現実」から切り離されて実感を失いかけたターン制からの離脱の意味もあって「伝説のオウガバトル」や「大戦略III」のリアルタイム制(コンピューター内時間でユニット移動を管理する)の採用があったわけで。*1それを人間の側が管理する時制と電子回路の側が管理する時制の対比と捉えることもできる。*2
 
展示されていた作品はどれもアクションゲームを題材にしていて、「デジタルの中のアナログ」を発見してみせる切り口を採用していたけども、上に書いたような話の延長として考えたほうが、かなり多くのものを射程に捉えられるのではないかという気がした。*3RPGのターン制バトルに「リアルタイム」を導入したFFの、その思想背景を照らす、みたいな。

ぶっちゃけ言っちゃうと、展示作品を実際にやってみて、創作意図を体感できるほど長い時間プレイしていられなかった、てのが本音なんですけどね。どの作品もある程度以上先まで進められる人じゃないと単なる「へえ」で終わってしまうので。

*1:この文章書くのに検索したら大戦略VIの紹介で「大戦略の真髄たるリアルタイムシステム」、大戦略VIIの紹介では「ターン制は、まさしく大戦略シリーズの王道」と書かれていて、ちょっと笑った

*2:後から思い出したけど PC の『銀河英雄伝説』の移動と戦闘処理は全体一斉解決方式で、ボードの『銀河英雄伝説』はチットを引いて出た司令官の艦隊が行動できるユニット単位と全体一斉の中間の変則タイプだった。

*3:もちろん、アクションゲームのような一見して時間概念を扱っていないように見える作品にも上記のような話は適用される、というアプローチとして考えるのは可能だし、それによって「常識を揺さぶる」効果は十分に期待できるとは思うけど