アーケード版

 生き残るのが非常に難しいハードルの高さによって「あのステージでコケてたばっかりの頃から見守ってた娘がこんなに立派になって……」というアイドル追っかけの心理をトレースできた部分がとても大切だった、という話をする。

 ということでコミュニケーションの部分の位置づけを他のコンシューマー系列のギャルゲーと比較したとき、時系列的な話で言えばAVGパートが「思い出」「経験」つまり「過去」としてゲームの中に取り込まれる点が、会話・コミュニケーション志向を軸に据えたゲームと微妙に異なっている。身体へのタッチにリアクションする部分が一部で大きく取り上げられもしたが、その一見して双方向的なリアルタイムのバーチャルコミュニケーションに見える部分は、全体の流れの中で「彼女の物語」を構成するための要素として位置づけられている。つまり「彼女との今を楽しむ」という形式からは距離がある。おそらく、その距離感こそが彼女たちがアイドルであることと結びついていた。

 それなら、「アイドル追っかけ的」ではなくなった×○版での彼女たちと僕らの関係は何処に位置づけられたのだろう、と。