「晴子とー!」
観鈴のー!」
「「なんでもAIR道場ー!!」」
「ちゅうわけで新コーナー開始やー!」
「おかあさん、いきなりだねー」
「いやーここら眺めてたら思わずやりとうなってなあ」
「にはは。よっぽど人恋しいんだね」
(すぱーん!)
「痛い…」
「ツッコミ役はうちのもんやー! 観鈴はツッコミ入れたらあかん!」
「あ、にはは笑いのことじゃないんだ」
「文字だけやと『にはは』も『がお』も禁止やと苦しいんや。まあそれはさておき!」
「さておきー!」
「いきなり質問コーナーいってみよーかー」
「は、はやい…」
「時間で金かかるよってテキパキ進めなあかん。よっしゃ観鈴、ハガキを読むんや!」
「おかあさんおかあさん、アニメ雑誌も置いてあるよ。こういう単価ばっかり高くて読む場所少ない雑誌を読むには漫画喫茶っていい場所かもしれないよ」
「ほうほう、ザクのシールドに大嶋優木デカールはええセンスしとるやないの。…ってなに角川のアンポンタン雑誌読んどるんや!」(すぱーん!)
「痛い…」
「ハガキ読まんかい!」
「だってハガキなんてどこにもないよ。手ぶらでフラッと来ただけだし」
「そやったら募集や! コメント欄にて答えてほしい質問募集や!」
「それじゃあ、今日は私から質問してもいい?」
「おっしゃ言うてみい」
「おかあさん、エセ関西弁?」
(すぱーん!)
「言うたらあかん!」
「ぐす…」
「泣くんやない観鈴。あんたは強い子やろ?」
「うん…観鈴ちん、強い子」
「偉いで観鈴。笑うた観鈴は世界一のべっぴんさんや!」
「べっぴんさん」
「そやべっぴんさんや!」
「おかあさん!」「観鈴!」(がばーっ!)
「ええ子や観鈴! あんたはほんまええ子や!」
「大好きだよおかあさん、あたしおかあさんのこと大好きだよ」(じーん…)
(10分経過)
「よしよし、もうええな」
「うん、もう平気」
「よっしゃ、質問が来たで。観鈴読んでみ」
「はい。神奈川県のペンネームDALさんからの質問です。えっと、『劇場版AIRの国崎最高はなんであんなに出崎キャラ丸出しなんですか? 物置ではオーラ漂わせるし、パンチはまるきりジョーみたいだし、とてもAIRとは思えません。』だって」
「ふむふむ、ええ質問や。原作ファンの多くがとまどった国崎往人の性格変更、実はこれには深い訳があるんや」
「そ、そうなの? いきなり子供に大受けする芸を披露できちゃう往人さんって理由があるの?」
「大ありや! まずな観鈴、原作の『AIR』は、どういうジャンルの作品やった?」
「え、ええっと…その…え…えっちな…げーむ」(かあっ)
「それはおいといて。まずな、『AIR』はアドベンチャーゲームや」
「あ、うん」
「そして、国崎くんは主人公や。プレイヤーが感情移入し、国崎くんの選ぶ行動を選択するんや」
「そうだね。それを短い映画にするんだから、たくさん省略しなくちゃいけないよね。だからかな」
「それもある。けどな、よう考えてみい。ゲームの主人公、プレイヤーキャラクターはプレイヤーと一心同体やな? な?」
「にはは。『AIR』はちょっと違うけどね」
「後半に往人の身体から蹴っ飛ばされてそらになるんは仕様や。それかて、それまでの往人の気持ちと一緒になっとらな意味ないやろ」
「そっか。自分の身体じゃなくなっちゃう気持ちを感じるんだもんね」
「そう。それがゲームっちゅうもんや。けどな、映画はゲームとは違うんや。プレイヤーキャラクターなんてもんはおらへん。観客から見たら観鈴も国崎くんも学校の先生も登場人物なんは一緒なんや。つまりな、プレイヤーキャラクターとしての国崎くんやそらは、映画の話からしたらむしろ邪魔なんや」
「でも、いなくなっちゃったらお話作れないよね」
「そこで考え方を変えるんや。観客からみて赤の他人がプレイしたプレイ記録をストーリーとして採用したらどないなる? それは確かに『AIR』やし、プレイ記録なんやから一本筋が通っとるやろ?」
「そうしたら観てる人が感情移入できなくなるんじゃないかなあ」
「甘い、甘いわ観鈴。映画の感情移入は映画の流儀で作ればええ。映画ちゅうんは元々そういうもんや。そしたら、何で国崎くんが暑っ苦しい性格になっとるかわかるやろ」
「がお…よくわからない」
「劇場版の国崎くんはな、スクリーンと一心同体の性格なんや。あるいはこう言い換えたらどうや? 劇場版AIRは出崎監督の『AIR』のプレイ記録で、国崎往人は出崎監督のシャドウなんや」
「それってMK2さんのえあーにっきみたいな感じかな」
「まさにそんな感じやな。『観鈴、お前は誰よりも気高く…』のあたりはもう『観鈴、急にすげえ大好きだった。』の名フレーズを思い出さずにはおられへん」
「にはは…恥ずかしいな。でも、プロの監督さんなんだから、感想とはやっぱり違うんじゃないかなあ」
「晒すのがプロや。全部晒してなお奥があるのがプロっちゅうもんや」
「ぷろ」
「プロや。劇場版の国崎くんの性格は監督の剥き身の分身なのが正しいちゅうこっちゃ」
「正しい」
「そや」
「んっと、ということだそうです」
「思わず熱く語ってもうたが、夜はまだまだ終わらへんで。次いってみよ次!」
「わ、もう時間がないよ。ホテルに帰らなきゃ」
「なんやもう終わりかいな」
「えっと、質問や新コーナーのリクエスト待ってますから、どなたでもいいのでコメント書いてくださいね、ここまでやって誰も反応してくれなかったら人生に絶望します、だそうです」
「最初っから絶望しとるくせに。ほなまたなー」
「おかあさん、ケロちゃんみたい…」
(すぱんすぱんすぱーん!)
「痛い、痛い、痛い…が、がお」
「以上、劇場版準拠の神尾晴子とー!」
「がお…んっと、劇場版準拠の神尾観鈴でしたー!」
「「また来週ー!!」」