ざっとコンビニ本部とフランチャイズ店舗の関係の説明しますね

http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20130208
とりあえずコンビニ本部社員ってどういう存在かから説明します。
本部は支店を管理するのが仕事だと思ってるかもしれませんが、違います。
コンビニ本部というのは、コンビニ各店舗に物を売るのが仕事です。
ですので、本部社員の末端部隊の仕事は、店長や仕入担当者を説得して、本部が計画した販売ノルマが達成するよう仕入れさせることです。各店舗が仕入れてしまいさえすれば、売れ残っても本部にダメージは来ない契約になっていますから、重要なのはオーナーをどんだけ説得できるかにかかってきます。要するに本部社員の多くは地域巡回の営業部隊です。
いや各店舗が売上や客対応向上に取り組むのを手伝う販売サポートのアドバイザーが仕事じゃないのかと思う子もいるかもしれませんが、ンなこと言ったら家電メーカーだって販促物を山ほどバラ撒いて売り場を提案して土日となれば家電量販の店頭で説明員やったりするじゃない、という話です。小売店が売るために至れり尽くせり突っ走るのが日本の卸売やメーカーの伝統であり、その形態を一歩進めたのがフランチャイズの仕組みです。
 
どういうことか。
フランチャイズは、各店舗は基本的には独立オーナーで、契約で本部がそれぞれの店舗に対し殆ど独占的に物を売ることができる、という仕組みです。(契約上はそういう文面にはなってませんが実質的にそう、という話です。なお独自仕入れを否定してはいません。別ルートで仕入れる店も結構あります)
その独占的な立場の代わりに、本部はすさまじい開発費用と運営費用がかかる巨大な販売管理システムや、すごい細かい販売マニュアルや、すごい速度で繰り出される新商品開発や、すごい頻度でかかりまくるCMを提供して、日本全国(世界各国)どこのコンビニでも均質な顧客サービスを提供するんだぞ、というイメージ戦略を繰り出してきたりします(実際には店舗ごとにサービスの良し悪しありますけど)。
 
さてフランチャイズ、各オーナーが店舗の実情に合わせて自由裁量で物を仕入れて売っていい、地域に根差したサービスを提供していい、というか独立した小売業者なんだからそれこそが一番大事なポイントで、そういう形で売上に応じた収入があるよと契約で明記されてると、単純に社員が店長を務めるだけの支店展開よりも責任感とか生じて一層頑張れる、というのが仕組みの基本なわけですが、そこはやはり本部と各店で温度差があります。

たとえば具体的には、メーカーとの交渉。コンビニ本部は「うちは全国1万店舗だからさ、そこで全面展開する宣伝力と販売力は半端ないぜ? だから、もうちっと安くしろや」とかメーカーをいじめ価格交渉します。ちなみにメーカーからの仕入れが安くなっても、各店舗の仕入れが下がるわけじゃありません。というかメーカーからの請求書や納品書は基本的に各店舗には来ません。ビールやスナック菓子は業務用スーパーの価格よりもコンビニ本部からの仕入れが高かったりすることもありました。メーカーからコンビニ本部に納入される原価は、各店舗からは一切見えません。以前、仕入れ先さんが教えてくれた話ですと「セ○ンで○○万ケース仕入れるから、そのぶんイ○ーヨー○ドーへの仕入れ額を安くしろ」的な話があるとかないとか。ファ○マなんかは伊○忠の傘下ですから、鶏肉加工品なんかの納入額は親会社の取り分を多くしたりするかもしれません。まあ食品小売は競争が激しいですから今となっては極端なマージンはないと思いますけども、とまれ、そういう仕入れ先の事情は各店舗には一切入ってきません。決まってるのは小売価格に対する、「惣菜だったらこのぐらいの%」という、だいたい一律な仕入れ値。
 
だいぶ脱線しました。さてコンビニ本部がメーカーと交渉して仕入れ計画を決めますと、当然ながら、そんだけの数を売らなければいけません。
ですから各店長が「うーん、この商品は、この地域じゃ売れないよ」と言って、本部が決めた数字より少ない数量しか発注しなかったり、あるいは全く発注しなかったりしたら、計画が狂います。

ですから、コンビニの各店舗に自由裁量は認められていたとしても、本部としては、どこかではコントロールがきかないといけないのです。しかし本部が勝手に商品を送りこむわけにはいかない。発注数量の決定権は各店にあります。それが独立オーナーとしての最後の牙城です。(なかには発注数を勝手に変更する不届きな本部社員もいると聞きますが)
まあ、大抵の場合、そんなに各店舗のオーナーが本部の言うことをまったく聞かない、なんてことは、ありません。商売、もちつもたれつですから。
ですが、コンビニというのは、常に商品開発を続けて世間をあっと言わせなければいけない(CMを打ち続けて恒常的にやや洗脳状態にしておかないといけない)性質上、けっこうな無茶もやります。
たとえば「節分に恵方巻き? なにそれ聞いたことないよ。売れるわけないじゃない」とオーナーが嫌がっても、本部社員は「いや関西ではみんなそういう習慣で、関西では大ブームで売れまくってるんですよ。CMも流しまくりますから大丈夫です」と、実際に売れてるかどうかなんて関係なく、恵方巻きを仕入れるよう勧めてきます。
そういうわけでして、本部の無茶を各店に説得する営業社員というのは、大変です。販売ノルマ達成のためにオーナーに協力すべく、独身だというのに一人で恵方巻きを5本も10本も買ったりします。おでんセールとなると3食おでんです。「セ○ンのお店で揚げた唐揚げ弁当」を3個も買っていったり。セ○ンの会長さんなんか著書や講演で「自分はセ○ンの弁当を自分で毎日食べてるんだ、そうやって良いと思ったものだから自信をもって売れるんだ」とか言ってましたから、社員もカリスマ会長を見習って3食コンビニ弁当で売上に貢献味をチェックして販売アドバイスに生かすような感じなんでしょう。

長くなったので、今回はこのへんで。