クリミナルガールズ

 雑誌記事でけっこう取り上げられてた「おしおき」RPG。11月ですとライトヲタ界隈だとコレとダンガンロンパの二択だったかと思われますが、とりあえずこっちに手出し。

http://nippon1.jp/consumer/criminalgirls/
公式。

 ビジュアルノベルが席巻する以前、90年代PC系アダルトゲーがそのまま正統進化してったらこうなったんじゃないかと思わせるゲームテイストです。そこそこオリジナリティの高い戦闘システムと、へぼ目のミニゲームと、お色気の組み合わせとか、そゆの。

 PCエロゲというのは平凡な日常風景どーこー言うわりには陰 茎 挿入本番セ ックスをデカデカと打ち上げておかないと商売として成り立たない不自由きわまりないジャンルですから、それ以外の微エロというか、本番セック スだけが男女関係じゃないよ、男の欲望はむしろ周辺要素に(r という細かいあたりは現実問題コンシューマーがやらなきゃいけないのが現状です。なのですが、今回の都条例でそのへんの事情がかなり厳しくなりそうだなあと思いまして、条例成立直前に出てたコレを買ってきて正月はずっと「おしおき」三昧だったとゆー。

「おしおき」が微妙な男女関係の機微かと言われると、そこはお察しくださいとしか言いようがないのですが、しかしながら昔「スカートめくりエロゲ」を買ったのに2、3回ばかしスカートをめくったら即本番中出しorぶっかけとゆー酷い仕打ちを受けた身としましては、これは誰かがやらねばならぬことであったのだ、これは正義なのだと主張させていただきます。実際、本作はレーティング(D)との兼ね合いもあって、見た目としては過激というほど過激でもなく、シナリオも兼ね合いを上手く取り込んで展開していて、全体に丁寧で落ち着いた作りになってます。戦闘システムにしても「ヒロインらの自主的な提案を、先生であるプレイヤーキャラが採用する」形式で進行していて、けっして「教師が体罰で生徒に強制的に言うことをきかせる」形には、なってません。逆にそこが怖いところでもあり、蟲惑的なとこでもあります。

 実を言えば、RPGという「狭苦しいダンジョンもしくはダンジョンに等しい行き来の不便なフィールドマップを舞台に、何をするにも敵を倒さないことには話が進まない、PCエロゲ以上に制約だらけの環境」において、出来ないこと、扱いが難しい題材は結構多い(非暴力主義なんてのはJRPGだと人気の題材ですが実際はゲーム内の行動と食い違うので強く主張するだけ矛盾が露呈しますし、自己の内面での「戦い」なんてのも、ベタな戦闘シーンに変換されると意味が異なってきてしまう)んですけども、そこんとこは歴史の積み重ねといいますか、踏み込んで描写すると言い訳できないとこについては踏み込まないマイルドな処理の仕方を心得てて、仕事としては派手さに欠けますが堅実と言っていい。そのかわりといってはなんですが、ダンジョン第3層での演出は、ポケモン型といいますかヒロインに戦わせといて自分は高みの見物やってる系のゲームの形式を上手く利用していて、なるほどとうならされました。そうした演出が最終的に「おしおき」の快へと帰着していくわけで、芸の細かい良い仕事をしているなあと感心することしきり。

 全般によく喋るゲームで、ネタばれになりますが件の「おしおき」にしても「おしおき」のゲームの基本的な内容と画面は序盤からさほど変わらないのに中盤から後半以降にかけて台詞でのデレ度合いが凄まじく、それが「おしおき」するプレイヤーへの批評たりえている部分についてはゾクゾクさせられました。細かい要素こそレーティング配慮されてますが総合的に生じる意味を考えてしまいますと社会良識として守られるべきとされてる諸領域をキッチリしっかりじわじわと侵犯してしまっていて、実に嬉しい気持ちにさせられます。「おしおき」中バックで流れる喘ぎ声にしても、既存の手法が効果的かつ切り口の異なるニュアンスでもって採用されており、「枯れた技術の水平思考」の横井軍平精神を受け継いだ古典的な意味での良作といえます。おすすめ。