見てきたヤバイ

・意志の勝利
http://www.theater-n.com/movie_isi.html

 20世紀を映像で振り返るというと必ず引用つーか映画内のカットを使いまわされるので、部分的であれば見たことない人は殆どいないはず。てのが、映画館と名がつくとこではン十年ぶりにやるというので。

 上映前の予告宣伝が<a href="http://www.ponycanyon.co.jp/Kyuketsu-syojyo/">「吸血少女対少女フランケン」</a>だったり<a href="http://www.youtube.com/watch?v=Wo-gGes6qig&feature=channel_page">「ロボ芸者」</a>だったり、いい感じに脱力させられてて、始まる直前には割とお気楽な雰囲気だったんですよ、ええ。なめてました。

 凄かった。凄かった。大事だからもう一回。凄かった。

 行進と顔アップと演説だけなのに2時間ずっと見れるどころか引き込まれる。ちょっと距離をおいて、客観的に見てるつもりでいて「げ、そこで突き放すか」「幹部の演説をそこまで大胆省略て、アリか、アリなのか」なんて緩急振り回されるうちに巻き込まれ。金と権力がなきゃできない映像では確かにあるが、編集とカメラワークが凄すぎて、他の誰にもこんなのとれない。どんだけCGが巧妙になっても絶対に手の届かない領域はいくらでもあるが。圧倒的な力で他を全部ねじ伏せて突き放してくれてます。「面白い」「興味深い」なんて立ち位置をごまかした発言ができない。演説でヒトラーが「部外者がこの大会を見てどう思うか」みたいなこと言って。そんとき70年を超えて目の前に映画ていう現実がガツンて突きつけられ、政治的思想的なもの全部含めて観客に自分が何者かを問うてくる。こう書くと実に陳腐な言い方だけど、それ以外に言いようがない。

 見終わって、いま俺らがNHKドキュメンタリーや、ちとマニアックな筋の戦争記録モノ映像で見て組み立てるような「ナチスってこんなノリ」「ヒトラーてこういう演説する奴」「ナチスドイツってこんぐらい全体主義」みたいなイメージて、全部リーフェンシュタールの作り上げた映像世界の焼き直しなんだなー、とか話し合ってました。ニコ動でも輸入したのがうpされてるらしいし、今度、国内版でDVDも出すらしいから資料として見るにはそれでいいと思う。が、映画館で見てしまったヤバさは確実にあった。