「ああいう物をそう呼ぶんだろ」

 道化や狂言回しなんぞ劇作品をひっくり返せばいくらでもいるとは思うが、ヲタ的にジョーカーさんをアニメから探したいならオシイよりかトミノじゃないのかなぁ、と。具体的にはガンダム。具体的にはターンエー。

>「ガンダムちゃん出てきてよん、ガンダムー、ガンダ、うおっ来たか。でっへへへっははははっ、思う存分遊んでやるぜ」
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/3829/words09_TurnA.html

 ヒゲのホワイトドールを最初にガンダムと呼ぶ役割を負って登場するコレン・ナンダーは、赤いMSに乗ってるのでシャア的な存在への嫌がらせキャラ、あるいはトミノカントクの分身などと言われたりもしたが、その奇矯な言動や素性不明のイレギュラーさ、赤を基調とした目立つ服装、どれもストレートに道化をモチーフにしてる。左目の周囲の痣もまた、ピエロの「涙」のメイクを想起させる。(一方でジョーカーは涙の化粧をしないでただ笑ってるだけだ)あるいはガンダムガンダムと先触れを連呼するのだからチンドン屋に近いほうですかね。

 ガンダムを敵として求め、ガンダムガンダムらしく振舞うことを求め、ただガンダムと戦場で出会うためだけにノックスの城下町を灰燼に帰するコレン。その姿がバットマンに自分の存在意義を求めるジョーカーさんと重ならないわけもない、のだが。

>「えーっ、そりゃおかしいや女王陛下、ガンダム、いますこれがガンダム、ねえそうでしょ?」
>「ガンダムにはお髭がありますか?ありません。時代は違ったのですから、お前の任務は終了しております。」
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/3829/words12_TurnA.html

 ターンエーにはディアナさまがいらっしゃったのです。やっぱあれか。女王様とか女神様とか美少女天皇とかお姉ちゃんとか必要とゆーことか。ああヤダネ。

 まぁ。あれ。よっぽどエグいよねトミノ節。星山脚本か、この場合。

 さておいて。

 赤いモビルスーツこそマグマの海に落ちてなくなるものの、コレンはきっちり生き残って、ガンダムを追い求める自己を否定された後も最後の最後までのた打ち回るようにして大活躍するわけで。パワードスーツなバットマンの行く末として、ターンエー路線というのは悪くないのではないか。