>「奈須きのこは、文章が下手である」

http://homepage2.nifty.com/aleksey/LIBRA/kasai_nasu.html

 ちなみに僕は、『空の境界』で大ショックを受けました。文章の内容と関係なく、たんに読点だけで読むリズムが作られてる、という事態と、それに従って読んでしまったら自分のなかにリズムが作られてしまった、という衝撃で。なんつーの、「ああ、こんなんで、リズムって作れちゃうんだ」という当り前かつ誰もそんなこと教えてくれなかったカルチャーショックに。

 いや、本当にさ、まるで読めなかったんですよ、最初。それが途中で「読み方」に気付いてしまったら、すらすらと読めてしまったというのが凄いショックで。ちなみに、中途半端に「上手く」なっていくと、本当に、ホンットーに、つまらなくなります。

 言うまでもないですが、売れたのは『月姫』が先であって『空の境界』は「月姫の作家だから」売れたんです。ゲームが先に売れたのを無視するのが小説業界の基本らしく。ちなみに『月姫』も、とにかく冒頭から読めなかった。シエル先輩登場のあたりまで進むのに、すごい苦労した。なんですけど、ノベルゲームって、文章表示をコントロールできるでしょう。「読むリズム」を文章と別のとこで作れるんですよ。だから、先に読み進めていくほど、その文章本体と関係ないリズムに巻き込まれていくんだと思います。んで、ハッと気付いたら、

>『月姫』にかろうじて『雫』に拮抗できるものがあるとすれば、それは主人公志貴がヒロインアルクを17の肉片に解体する際の、彼の高揚がそのまま乗り移ったかのような、血糊がベッタリとついた、読む者に射 精を促すようなエロティックなテクストにあるのであり、
>『月姫』の解体シーンは、これは調子が狂ってないときのりんたろうで見てみたい! と思わせるほどなのだ。
http://www.geocities.com/lovelyaichan2000/review/tsukihime.html

と、あのやまうちさんに言わせてしまう例のシーンに辿り着くわけですわ。女の子を刻んで犯すことに特化してるというか、ほら『Fate』のイリヤの眼を切り裂いたり。

 で、件のシーンはさておいて、奈須きのこは何かが根本的に違うのだと思い知らされたのが『空の境界』でした。だから『空の境界』を「ゲーム的リアル」な文章として評価しなきゃダメでしょう、と。