>「マルチエンドをどう文学的に処理するか?」
http://d.hatena.ne.jp/nuff-kie/20070610/1181453546
回答A。
テーマを連結した短編集。
・古橋秀之『ある日、爆弾がおちてきて』電撃文庫
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31593177
というのが、ある。
なんつーか、半ばサブカル君の入ったエロゲマみたいなハンパな立場をここ数年やってる僕からすると、あからさまにマルチシナリオギャルゲーに対して「文学的にどうこう」言いたがる人たちの喧々諤々の議論のタネとなってる問題系を小説1冊で解決しちゃいました、という感じの本だ。
1冊に7本の短編があって。それぞれの短編の登場人物は別々で。題材もバラバラ。それでいて、短編集の流れとして1冊を通した起承転結があって。きれいに繋がっている。
バラバラだけど、繋がってて。
結末は7つだけど、終わりは一つ。
ループ物とか、時間を扱ったネタも豊富。
ほら、完璧じゃーん。
それでもなお、納得いかない、というのであれば。
サモンナイト3のOPをミロ。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm122900
タクティカルシミュレーションRPGのOPであり。
キャラクターを冒頭で選択。主人公として男と女のどちらかを選び。さらには、自分の勤める家庭教師の生徒を、4人の少年少女の中から一人選ぶ。
シナリオや他の登場人物は同じなので、異なるキャラクターを選択してしまえば、あとは言ってしまえば並行世界みたいな扱いだ。
そうして、OPでも彼らはワンカットに一人づつしか出てこない。
まるで一つの物語のように、曲にあわせ(この曲の歌詞のズタズタっぷりも凄い)、かわるがわる登場する二人と四人は、互いに入れ替わる者同士、けして顔をあわせない。もしも彼らの世界が並列する世界なのだとすれば、OPのそれはワンカットごとに、異なる世界を映し出しているのだ。
だが、(この凄まじく断片的でまとまりのない歌詞を聴きながらですら!)本当にそんなバラバラの世界の、つぎはぎの描写に見えるだろうか?
OPの冒頭。
4人の子供たちがただ駆け抜けていく一瞬。
互いの顔を見合わせることもなく。
一時たりとて、髪の毛の一すじたりとて、画面内に子供たちが二人同時に映ることなく。
それでもなお、彼らはそこにいる。僕は、四人の少年と少女のこの一瞬を信じられる。
そういうものじゃないか?