明智抄『サンプル・キティ』ソノラマコミック文庫

超能力と魔法との違いについて。
えーと、超能力は先天的なもので努力とか根性とか訓練とかを排除するものです。そこから遡っていくと、歴史とか文脈とかマッチョイズムとかいろんなものが否定されていきます。ようは観念そのものってことですね。
高校生の頃、田中芳樹創竜伝』で超能力戦士が念動力でそのへんの巨岩を持ち上げてぶつけようとする描写が限りなくバカに見えたものでした。ペリーローダンでは攻撃してくる相手を空中に浮き上がらせて戦闘不能状態にするのが念動力戦闘のセオリーでしたから、銀英伝赤毛の副官の元ネタはペリーローダンに違いないと思っていた私は「なんだ、ローダン読んでないのか」とガッカリしたのでした。
さておき、「巨岩を持ち上げてぶつける」というのは超能力の絵にならなさを何とか絵になるように頭を捻った映像屋さんの仕事に由来すると思われるのですが(そうした描写の起源がどこにあるのかは知りませんが)、そのような本質的に絵にならない超能力の、絵にならなさをとことんまで見極めていくと表題作になります。
ところで超能力の観念そのものな部分と相通じるのは日本刀の持ついかにも観念的な一刀両断のイメージだと思っているのですが、そんな僕は『BLEACH』20巻の某隊長の大活躍に大喜びしているのでした。