レス

2005年07月16日02:19 hide

今はいろいろやってますけど博論について言えば人と会話可能なキャラクターについての研究なので,歴史的には人工知能分野で扱われがちなテーマだと言えるです.
(あとポリシーについて頂いたコメントはどのあたりの話を指してるのかよく判りませんでした.)

物語生成に対する僕のアプローチは,物語の文脈はコンピュータではなく人間の側が多くを持っているという仮説に依ったアルゴリズムの採用とシステムの運用です.不特定多数へ向けた物語ではなく,僕らが僕らのお話の欠片(日記や発言録)を元にして僕らのための物語を生成するのだという仮定を置くと,比較的文脈の齟齬が小さくロバストな生成-解釈の系を実現することができます.例えば先日,研究室旅行の打ち合わせを数名で行って,そこで獲得された発話映像や図画の断片から要約ストーリーを作成して研究室全員へ伝達するという実験をしました.発話の中にある僕らにしか判らない省略事項や図画などの深層情報をコンピュータが理解するのは困難ですが,一緒に生活をしている研究室のメンバが理解するのは難しいことではありません.コンピュータが深層情報を理解することなしに,僕らが打ち合わせにおいてどこを見ていたとかどこで声が大きかったとかどこでペンを動かしたかとかの表層情報のみを用いて物語を生成することによって,僕らが理解可能な物語というのはコンピュータによって十分に生成可能であるというのがここでの仮説であり,その正しさについてはこれまでの実験から少なからぬ確信を得ています.

根がTRPG者なので人間が深く関与しない物語生成には興味が持てません.

茂内さんについては
http://www16.tok2.com/home/pmoky/
の「基礎理論」と「コンピュータゲームによる物語生成モデルの提案」を拝読しました.物語は多様に過ぎるので,制約を加える,あるいはプロップなどの言うパターンを採用して単純化するというのはこれまで普通にとられてきた正攻法だと思います.