スクラン

http://www.so-net.ne.jp/e-novels/hyoron/syohyo/234.html

この物語には、実際の三角関係とは別に、誤解ゆえに生じた幻想の三角関係が巧みに何組も持ち込まれていて、それがこのドラマを恋愛ものとして、格段に高度で巧妙なものにしている。

さて「実際の三角関係」なるものが棚上げされているのは上リンク先でも指摘されているわけで、実際にあるのは片方は全く気づかない、一方通行の関係だけであるのは上の元ネタ(つーか殆どパクってないか…)じゃねーかと思われるhttp://www1.kcn.ne.jp/~iz-/man/school01.htmでも指摘済みである。
いいかげん気づいてると思うけど、この一方通行を前提とした構図はやおい同人の人間関係だ。烏丸、天満、播磨という揺るがない基盤を「原作世界」、そこに登場するサブキャラたちで展開される人間関係を「やおい同人」とすれば、それはもはや星矢や翼や銀英伝や幽遊やスラダンの同人を読み慣れた世代には御馴染みの光景だろう。沢近の脳内で展開される「幻想の三角関係」は、言ってしまえば沢近によるカップリング妄想であり、沢近はやおい同人としてのスクランの読みを導入するための読者の案内役を担っている。(いずみのさんの人間相関図すげえ便利だ…)
まあつまりスクランという作品は男の子が安全に手を出せるやおい同人世界なのであり、「○○派」と称して特定キャラの恋愛成就を願うというのは読み方として全くもって正しいんだけれど、ではスクランは意図して「やおい」を導入したのかというとそういうわけじゃなくて。スクラン受容の背景にあるノベル系エロゲーギャルゲーやその派生物としての「ハーレムアニメ」にあったやおい同人との類似性が、マガジンという「男権主義」的文脈や1話あたりのページ数の短さ、ページ脇のテキストによるツッコミという少女漫画のモノローグの流れをくむ「コマ割や人物の動きよりもモノローグで展開されるポエムが本筋」なやおい同人文法に(たまたま)似てしまった特異な構成、4コマ漫画の流れから来ているはずの背景の白さ*1などの諸要素の絡み合いにより一気に浮上したとみなすべきだろう。

つうかホントにスクランのウケ方ってファンロードの「今月の○○」を思い出すんだわさ。

*1:「貧しい背景」id:imaki:20050213#p1といったとき、最も適切なのはやおい同人漫画の背景だろう。写真をトレスして描かれるエロゲーの背景などは、やおい同人誌で使用されるような写真を印刷したスクリーントーン(高層ビルの夜景などがベタ貼りされてる)に最も近い