ギフトショーで自販機でドリンク買えないでしょ

 昨日の関連元は
http://ruriko.denpa.org/200809c.html#2901
(字数制限に入らなかったので)

 オタ関連でキャラクターコンテンツという考え方がしっくりこない理由の一つは、二次創作での素材キャラクターはフォーマットと呼ぶべきものだからで。漫画やアニメに隣接してるため人格と呼べる部分の担当領域がスライドしてて、結果としてキャラクターが保持されるのが視覚的な領域から後退している。全く似ていない絵で描かれた人物像を名前と髪型と服装と所作の特徴だけで同一であると主張するわけで。

 先日の二次創作しやすい原作について「絵が下手」「絵が個性的」だと作りやすいという呼び方をしていたが、これは女性サイドの二次創作のネタ元と絵柄との関係について見て再考すべきで。かわぐちかいじ沈黙の艦隊」や尾田栄一郎ONE PIECE」や鳥山明DRAGON BALL」の絵を指して下手もしくは個性的という言い方はちょっと出来ない。

 同人では基本パターンの顔がある。縦長アゴ四角型やホームベース型で、最低限の直線と鋭角で顔の輪郭を構成する考え方を基本にしており、そこから立体感や丸みなどを多層的に付け加えていけば大枠としての同人顔になる。この顔の描き方が、漫画の四角いコマの枠線(四角い裁断という物理的技術的レベルの省力化の要請)や紙の白さ、映画館の暗い館内と一定サイズの四角いスクリーンに近いレベルの根底をなしている。絵柄が個性的と呼ぶときの多くは、そうしたコマの四角さから遠いといった意味に近い。

 この顔パターンは四角い紙にどうやって丸い顔を写し取るかの省力化の達成点であって、デッサンが狂ってるなどと否定しても仕方ない。RPGツクールのようなツクール部分に相当する「誰でも同人イラストに手を出せるための底上げ技術」だ。逆に言えば、人体に、顔の部分に全く興味を抱いていなくても使える技術だ。人間の絵を描くために必須の部分を省力化している代物を共有し見ている二次創作のキャラクターは、そのままの意味での視覚的なキャラクターコンテンツを形成しているとは言えない。例えば西又絵の「あきたこまち」のイラストを指してキャラクターコンテンツとは言い難く神学・民族的な抽象性の高い装飾と呼ぶほうがしっくりくる。どうせ売れてないんだろうけどビッグサイトの自販機業者の人は西又イラストの飲料水を通年売るの止めてくれませんか。