「マインド・ゲーム」(MINDGAME)

アニメのほう。レンタルDVDで。

予想に反してえらく大人しかった。劇場大画面で見たらもう少し迫力あったのだろうか。
クレヨンしんちゃん」てさ、どんどん落書きじみた顔になるから面白いんですけど、この作品のキャラデザインて端正なんだよな。
解説で「品がある」って言ってたけど、上品な作品です。テンション高いし完成度高いし。ここからさらに一歩踏み出して壊れるところまでいって欲しいと願うのは俺の趣味の問題。
例えば神様の出てくるシーン。神様の姿はめまぐるしく変化する。カットごとに別の姿に切り替わり、あるいは見ている前で頭が尻になる。けどそれだけ。面白いけど揺さぶられない。変身である変形であるメタモルフォシスである。アニメ作品の醍醐味のひとつだろうに、収まりがよすぎる。
マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ ピュア」を思い出すのはこういうときだ。ピュアの中盤、主人公るちあをはじめとしてキャラクターたちは信じられないほど目まぐるしく顔の形が変わる。なるほど全体で統一されない絵柄は「作画の崩れ」なのだろう。しかし、1カットごとに変わる顔の輪郭それぞれが可愛いし魅力的であるとしたら、いったい何が崩れているというのか。キャラクターデザインに忠実な顔だけが30分淡々と流れていくのが完成度が高いと言うのなら、ドラマCDをかけながら設定原画集を見ているほうがマシではないか。ならばこれは「作画の崩れ」などではなく、圧倒的に豊かな表情の表現なのだ。「ピッチ」ではそれが見える。それが見えたときに常識が揺さぶられる。設定を超えシナリオを超え実写を超え「絵の力」が脳を揺さぶって通り過ぎていく。
「マインドゲーム」に欠けていたのはそういう収まりのつかない不条理な力強さだったのだと思います。