JUNK HEAD(映画)

コマ撮りアニメでダークな雰囲気で奇怪なクリーチャーがてんこ盛りという前情報でシュヴァンクマイエルみたいなの想像していったら違った。ので少し肩透かし感があったがパンフ買って読んだらそもそも全然方向性が違ったのでなるほどなーとなった。

まあ冷静に考えて100分ぶっ続けでシュヴァンクマイエルみたいなグッチョグチョなメタモルフォーゼ見せるとかヤバすぎて映倫フリーになるわけない。ないが途中までちょっと期待してた。主人公このままノンストップで何もかも通り過ぎてくのか凄いなと思ってた。まあそんなマッドマックス怒りのデスロードみたいなやべーリソース投入を一人でやれとかいくらなんでも無茶すぎる。

しかしそのへんなくても十分に見る意味があった。見ててとにかくすげーなーと思ったのは動きが全然カクカクしてなくて、コマ撮りアニメで予算かけなくてもハリウッドに対抗できるという作者の発言に説得させられたこと。ドラマ部分はもすこしドライでもいいよなと個人的には思っちゃうけど、逆にいやコマ撮り人形アニメでもここまで普通に判りやすい芝居ができるのを証明してみせてるともいえる。造形も設定による裏付けを備えつつコマ撮りに適したデザインで、それでビジュアルで設定をなんとなく説明できてるの映像作りはこれが初めてという話とあわせると地味にすごいなって。

最近だとKUBOを思い出すけども、KUBOはでも滅茶苦茶金かけてるし、映像の快楽の方向性としては古典的なアニメーションの快楽原則の再現を目指してたし。つうかCGじゃなくマペットである意味あるのかも正直よーわからんかった。というか殆ど道楽一歩手前だよな。それと対比すると本作はアニメーションである意味は予算面って言いきってて、断然こっちのが研ぎ澄まされてる。

あと地味に凄いといえば、パンフも買ってから「えっコレもしかしなくても作者の手作りか」ってビビる。そのへん含めて、これの凄みってクリーチャーの異形性とか以上に、異形性を上手く使いこなして極限まで削り込んだ「実写と見間違えるかのようなアニメーション」というスタイルなんだな。アニメーションならではの映像美や映像快楽で語るとちょっと違う。そういう意味では現代ジャパニメーションのど真ん中なんだな。ジャパニメーションってアニメの映像快楽を礎にしながら逆に実写の領分の側のリアルに切り込んでくスタイルだから。