「はぐれ勇者の鬼畜美学」

タイトルからしてランス意識してるよなーと思ってピンク髪ヒロインにいよいよランスだと思ったら冴羽獠っぽいナンカ。
つい最近、最強主人公のお題で与太話を見かけたが、フィィクションで無敵無双が問答無用の大活躍をすること自体は「あたりまえ」であって、そこはポイントじゃない。桃太郎侍だろうがシティーハンターだろうが雑魚をバッタバッタとなぎ倒す最強キャラじゃなかったら魅力ないだろう。「なんかつまんねえなあ」ってのは強さがポイントではない。根本的には現実世界と違って主人公や世界観を深く掘り下げることが原理的にできないファンタジー設定の採用が問題だったりする。その話はソードアートオンラインのときにでも書くとして、本作はいかにも昔懐かしいハイファンタジー風味のエロアニメで無駄に最強な主人公が問答無用に無双で謎の必殺技で大活躍し、結果として話は面白くないのだが、まあそんなもんである。
どうにかして加工すれば面白くなるのか考えてみたが、面白くするための手段を設定レベルで否定しまくってるので結構な難題。あげくに今どきのアニメの基本的スタンスにならって「原作に余計な手を加えてません」っぽい態度で作劇を放棄して半端に放置してるので、そもそも評価されること自体を拒絶してる。メジャーどころの声優さんが喋ってさえいれば確かに声だけでエロいのは確かで、声だけエロい(裸は全くエロくない)。こうなると、余計な動画枚数は不要で、昔の劇画調アニメのハーモニー技法で止め絵を多くしてくれる作りのほうが想像力が刺激されてよりエロくカッコよくなるんじゃないかなーと思う。下手に単調に動いちゃうことで想像が否定されちゃうってのはあるんですよね。
同様の話で、シャフトのそれを指して「画面の作りは平面的」という説明があって、
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/140226/ent14022609300003-n1.htm
これは大体において酷い説明で、構成力もないまま半端に動画や奥行きのある絵と混ぜてるせいで平面的な絵から本来生じるはずの想像力や展開力、広がりをむしろ削いでしまっていて、アバンギャルドの対極の凡庸さというか「奥行きある構図こそが最高美学」という根拠のない価値観にどっぷりと浸かった業界内流れ作業の人たちがオマケ程度に他の様式をつまみ食いしてるというのが今どきのシャフト的な絵作りなのですね。まあ、とにかく褒めなきゃいけない立場なのはわかるけど、ポジショントークのために美的な感覚が殺されてくのは酷いなあと思う。