「宇宙戦艦ヤマト2199」感想。新スーパーマンやパシフィックリムも含めたネタバレ多数

いちおう、1話から26話まで、映画館で見ました。
昔のヤマトに何の思い入れもない(そもそも半分ぐらいしか見てない)のに。
そんな身として見た場合に。
まずざっくり。リメイクされたヤマト、「現代の感覚で作り直した」とは口が裂けてもいえないと思います。映像が綺麗になったけど、そういう話じゃなくてね。
むしろオマージュとかノスタルジーとかを軸に細かいところを詰めていった感じなので、このニュアンスって年代的に言うとどのへんになるんかね。ヤマトやガンダムは経てるけど、当然エヴァナデシコより遥かに昔。落ち着くところとしては、やっぱマクロス初代のニュアンスに近いかなあ。
マクロスを作ってる当時だって「俺たちがヤマトやガンダムの直したいところを改善して現代風に作ってやる」的な意識はあったろうし、うん、作り手の魂の形としてはマクロスなんだろーな多分。宇宙戦艦主役のバトルという形を守りつつ、SF要素をやや強調して異星人とのファーストコンタクトの要素を強め、登場人物の女性比率を高めて。
勿論、マクロスは「新しいものを作ってやる」って考えながら作られたもので、ヤマト2199は違う。ヤマトのリメイクで手堅くやる方法論で改めて作ろうって思ったらマクロスだった、みたいな話か。たぶんガンダムが出てきてロボットアニメがSFアニメの代名詞となった歴史から外れたアナザー。
そんなわけで、懐かしいものを見てるなあ、という気分で見ていました。
それは別段、ヤマトに限った話ではなくて、洋画でリリースされてくるCG大作なんかも懐かしいなこのノリ、ってのが割と混じってて。
自覚的にアナクロなガジェットを素材として使うってのとは違います。パシフィックリムなんかはロボのデザインが古臭いとかいうやついるけど、一方で、ありとあらゆる事情を全部すっとばして「我々は超国家の有志組織なのだー!」とやっちゃうって、けっこう凄いと思うんですよ。香港の基地にある超絶巨大兵器イェーガーって国家の軛から完全開放されて長官の命令だけで戦ってる。資金は闇社会との取引で自己調達してるし。古代兵器を発掘して使ってるとかじゃなく人智の結晶としての巨大ロボでありつつ、あそこまで金からも権力からも行動フリーな巨大ロボってのが凄いカッコいいわけです。だって絶大なパワー持ってるのに、偉いやつにヘイコラしなきゃいけないとか、ストレスたまるじゃない。ゼーレに雇われてるだけのゲンドウの立場の微妙さとかセコさとかさ。そういうパシリムに比して、アメコミヒーローを現代的なデザインにリニューアルしてリアルに構築するとかやってる向きは、シナリオとしては、あんまし新しくないんですよ。もしくは新しい課題に対して逃げて回ってる。映像はスタイリッシュでカッコイイ、ってのはさておいてね。
んでは、洋画のそゆのに比してヤマト2199はどうであったか。
良かった。
よく出来てたなあ、と思います。ロボなしで宇宙戦闘でSFちっくで、ちゃんと26話分の話を持たせてた。イスカンダルガミラスの二重惑星、今回の新スーパーマンにおけるクリプトン星と位置づけ的に被るんですよね。そういう意味も含めて、ギミックのコスモリバースの位置づけも良かった。どっちもノスタルジックで保守的ではあるんだけど、ノスタルジーに自覚的である分だけ落ち着いてるってことなのかな。ヤマトというブランドにさんざん振り回されてきた人たちの、辛酸なめ尽くした環境が、それなりの落ち着いた雰囲気をまとわせてるのかもしれない。
けして新しくはないけど、古いものに固執しようともしてない、といいますか。後から来る新しいものたちを意固地に邪魔しようとしたりしない。
枯れてるっちゃ枯れてるんだけど、「俺たちは当時(今のお前らと違う)最先端文化を突っ走ってたんだぜ、ホンモノってやつを見せてやんよ」ってなノリを40歳を過ぎても言っちゃうよりか、ずっと気持ちいい。
人類存亡の危機と言いつつ、悲壮な特攻アニメじゃなくて、陽性の、けっこう能天気な、お気楽アニメ。
銀河を離れイスカンダルへ、はるばる望んで、たどり着いたら水着回
単なる客よせで女性を増やしましたって以上に、そういう軽さを最後まで通したのが、良いなあって(逆に現在進行形の「現代風味」だと女の子が多くても話がシリアスに偏る可能性が高いしね)