おおかみこども追記7/24

ネタバレですが、おもいついたことひとつ。




長男の雨は「山の主」の元に修行入りして、最後に「山の主」の後を継いでくような描写なんですけども、つまり、自然界に秩序があり、自然界に社会構造があり、そこに就職してくような話なんですが、それまで人間社会から隔絶される道具立てとして自然環境を使ってるので、それはちょっとズルイかなあとか。
あるいは描写としては、作中、一度死んで生き返って、という流れがありますから、雨はあのとき死んでいたものを、別れをしばしの間だけ引き延ばしていた、という捉え方が出来なくはないけども、それだったら死という人間も含めた抗いがたい自然の摂理そのものが雨をつれてくのであって、人間社会か狼(自然という名の社会)かの二択じゃないんですよね。
二択じゃないものを無理やりに二択にして作中人物に選択をつきつける*1てのは、昔から監督さんの手癖の悪さとして一部から評判が悪かったりしますが、二択を決断するという見た目は過酷な状況設定が、本来問われるべきだった、抗いがたく向き合わなければならない一択と向き合うのを隠してるんじゃないか、とか。
男親の死のシーンの変さ加減(死因不明。街中に現れた巨大な獣の骸を、専門機関に持ってくでもなく、ただゴミ収集車に突っ込むという、理不尽さの残る別れ方。ヒロインが「あたしの犬です」ぐらい主張すれば、ペット葬儀なんか当たり前にあるんだし、無理やり持ってくことはないと思うわけで)が、絵として強烈かつ象徴的ではある一方で、単に唐突にかつヒロインに強い影響を与え続けるためだけに用意されただけの道具立てに見えるのが、引っかかるわけですが。

サマーウォーズも途中で死人が出ますが、どっちも、死がわりと軽くみえるのが、なんなんでしょうね、と。アニメーションだから、なんでしょうか?

*1:某氏が非難してた、どれみの某回とか。これも「どれみシリーズ」という長大に続いたシリーズ中のイレギュラーだから際立つ話ですが、どれみ自体、「もしかして本当にできちゃうかもしれないよ?」な子どもの夢な番組であって、そういうオタ的二択な話か?というツッコミは成立します。