独占しましょう

 支店を作るメリットのほう。

 これは特殊で、前提条件が他に応用のきかないような理由で構成されてる。支店を作りたい、作れる、作っちゃえというのは、積極的な意味もあるけど、やむなくやってる部分もある。

 例えば、有名な理由としては、株式公開してて株主が前年比より上を目指すように圧力をかけてきて、永続的に成長し続けないといけない場合。全人類が永遠に成長し続けるなんてのは嘘っぱちだというのが、ここんとこで日本人には身にしみて痛感されたけども、今のとこ地球上の大半では多少の誤差はあれども経済は永遠に成長し続ける(そうでないと困る)ことになってるので、売上増のために支店を出す。これは、よく知られている。

 あるいは、社員の待遇の問題。なるたけ多くの人を平社員から店長に出世させるため。あいつもそろそろ子供も高校だし金が必要だろうなあ、給料を上げるために店長にしてやるか、といった。単純に年齢に比例して基本給を上げちゃうと、いろいろ不都合が生じるので。

 わりとまぁ、日本や世界の、いろんな、単純な意味での売買にかかわる利益や経費とは少し離れた制度的な諸事情から、売上アップを目指さなきゃいけないし、支店を増やしてかないといけない。

 なので、支店を増やす際に、リスクが圧倒的に小さいフランチャイズという手法は、発明され、持ち込まれたときは、打ち出の小槌だった。株主でもない他人の金で、店を増やせる。

 デメリットは、店舗が、通常の支店よりもずっと、言うことをきいてくれないこと。じゃあ、どうするか。言うことをきくように、ガチガチにマニュアルと契約で固めて、身動きをとれなくすればいい。流通を知ってる人間よりか、商売を知らず既存の流通系統を利用するすべを知らない脱サラを掴まえてオーナーにすればいい。

 前にアレが放言してた、何社もの取次に個別の発注するのは面倒だから、窓口が本部ひとつだからコンビニの仕組みも悪くない…凄い発想だ。が、普通の小売店も、問屋を10も20も使いこなしたりはしない。効率が悪いので。普通は数件程度、業種や場合によっては1件の業者に、まとめて頼む。取次側も、普通は、まとめて面倒みますよと、かなり細かい品揃えを扱ってる。

 じゃ、何が違うか。

 仕入れ条件が悪いときに、「よその業者にまとめて移行するぞ」と、交渉できる。競争の原理がそこで働く。

 そんだけだが、それを放棄してるコンビニ店主のデメリットがどれだけ大きいかは、常識をわきまえてれば理解できる…と思いたい。