見かけたので

菱のバッジが無いともっと大変

商業小売の店舗が過剰、というか、小売店の末端を使い潰す形になってる現況下で、「素人」をそういう過当競争の場にいいことゆって連れてきて、それなりの率で借金背負わせてる、という話なので、その比喩でいうと物事を知らない中高生を甘い言葉で勧誘して舎弟にし後から抜けられなくしてる、のほうが妥当です。

えーとね。時間差のせいで見えにくくなってるわけですが、今の小売業の最先端って、スクラップ&ビルドが基本ですよね。地方でイオンを作っては潰すとか。大規模ショッピングモールにしても、多くの場合、開店当初は盛況でも、同じような施設を他でも次々と作ってくと、元から建ってる施設は売上減に悩まされるとこ多数になります。中のテナントも、最初の3年だけ珍しい店が出てるけど、それを過ぎると小じゃれた店は姿を消し、昔からのヨーカドーやイオンに入ってるチェーン店や100円ショップやユニクロが勢ぞろいしたりします。他から成功モデルとされるような優良店舗は勿論ありますが、全部がそれってわけじゃない。居酒屋もラーメン屋もカレー屋も居抜き出店が当たり前ってのも典型例ですが、飽和状態なんて言葉はとっくに通り過ぎて、出店経費を抑えてようやくナンボ、ぐらいの話になってる。
コンビニというフランチャイズ契約の場合、安定経営ならともかく、めまぐるしい出店競争のなか否応なく回転の速いスクラップ&ビルドの中で生じる損失(開業直後も閉店間際も売り上げは低いわけで)が、本部の損失ではなく、個別の店舗の損失になる。
 
そもそも、商業施設が多すぎるわけです。小売業だけやってる身からすると、どう見ても過当競争なのは判り切ってる。だから安売りに陥りやすい。身近な売り場でデフレにもなるでしょう。
じゃあ何で、過当競争と判ってるのに、止められないのかといえば、小売の現場の事情とは関係ないところで出店競争するからです。経営判断の基準が、小売の現場とかい離したところで成立している。
 
土地を「有効活用」したい地主の都合があって、
銀行預金を「有効活用」したい(誰とは言わないけど個人の預金主じゃないよ)都合があって、
不動産投資信託商品を売りたい、証券や信託銀行の都合があって、
古い建物を維持するよりか、新しく建てて稼ぎたい土建屋の都合があって、
過当競争の中、自転車操業で店舗拡大してかないと成り立たない(株価が維持できない)チェーン店の都合があって、
社内においても、店舗を増やさないとバイト君や新入社員君に「君もいつかは店長だよ」という餌を使えない、なんてセセコマシイ都合があって、
誰もが、いつ爆発するか判らない爆弾を押し付けあっている。
そういう諸々がもう、とっくに限界を迎えてる現場へのしわ寄せになってるというのが、ワタミとかコンビニフランチャイズ、さらには納品してる製造業や流通を請け負ってるトラック業、全ての抱えてる現実で。
 
そうなった原因はいろいろありますが。政策でどうにかなったはずの部分、政治の都合でひどくなった部分、てのも、それなりの割合であります。
 
脱線しましたけど、大きな状況下で、個々の店舗ごとじゃやっていけない中で、個々の店舗がこうむる損失を本部に来ないように、契約という形でせき止めてるのが、それを契約時に説明しないのが、果たして妥当なんですか、という話です。
本部の用意する救済策はせいぜい「店替え」です。売れない立地の店で厳しいから売れる立地の店に移してくれ、とお願いするの。でも売れる立地なんてのは限られてるし、引越しできるまでに生じた損失は丸ごと抱えたまま、返済していかないといけません。そして売れる立地がいつまでも売れる立地であればいいけど、店替えして3年もせず競合が出来たら(今どきはいくらでもありうる)、元の木阿弥です。

何度も言いますが、コンビニのオーナー、儲からないわけじゃありません。むしろ昔は大儲けのところも多かった。オーナー家族年収換算で1000万は当り前。上手く2、3店舗を経営してれば年収換算で数千万ぐらいはザラ、むしろ億いっちゃうか、ドンドン店を増やしていくぜ、って、そんな感じだった。
ただし、リスクは全部、自分もち。そうなると動かしてる額が平均売上程度の1店舗でも億単位だから損失の桁が違う。(フランチャイズのマージンが絡まない独立の小売店は動かしてる額が少ないから環境変わった時の損失も少なく抑えられる。見た目の売り上げが大きいほど、いざってときのリスクが膨らむ)
だからね、コンビニの店長を3年勤めようと、5年勤めようと、そのリスク計算がどんだけ大きく、どんだけ日常的にありうるものか、という説明と納得がないんじゃ、話にならない。年収1000万やそこらじゃ、まるで足りないんですよ。
 
普通の本支店の関係であれば、出した支店が不採算で撤退なら、それは店長の借金じゃなくて、本社の損失になる。けども、フランチャイズはそうなってない。どこに出店するかについてオーナーは口出しもできないし、コンビニ商品がダメならその店で別の商売に切り替えるかというと長期契約で縛られる。本部が不採算店舗を出した時の損失を大して請け負わないから、出店計画も安易になりやすく不採算店舗が出る率も上がる。
そういう「損失の押し付け」のもとに、他の独立系・中小の小売業やスーパー、コンビニ形態を圧迫してくってのが、フランチャイズチェーンであってね。

最初の話に戻るなら、そもそも、菱の代紋と知らずに素人が勧誘されてる現状をそのまま肯定しようとするな、て話になるでしょうね。