CHE PART2

 えー、前編を見に行ったときはみんなして「なんだかんだでアメリカ映画業界はまだマシだよな、日本でこんだけのスタッフ揃えて金日成の映画作って公開とか出来ないだろ」などと言ってたわけですが。後編見終えて「あー、こりゃ、あめーりかが作るお話だよね」「なんつーの? いくら個人がいきがったところで米帝がホンキ出したらハイソレマデヨつー」と、各人が体中の全エネルギーを強制排出させられたよおな顔で口々に。

 出来はすげえです。とりあえずビデオじゃなく、どっか映画館で見るべきです。リバイバル上映で28歳と39歳を連続上映、いやせっかくだからモーターサイクルダイアリーからセットでやってくれる機会を捉えて見るべきだと思います。その際は25歳未満入場禁止にすべきです。いや見たほうがいいのかもしれないけど。

 本人の日記を中心とした記録に忠実に、とゆーのが一番アレで。そっからカメラに映し出されてきた全てが伏線になっていって。いやもぉ、かなり高レベルに容赦ねえです。人間の暗黒面を抉りこむとかそーゆー能天気さは欠片もありやしない。ただ状況だけがあって、何もかもが自然に流れていくだけで。状況を変えようとする意志とかそゆのがね、視界の外から順序良く行列を作ってやってくる、したり顔の当り前さそのものの状況に足元を掬われる。そうして捕まって手足を縛られたままボリビア軍の将校と記念写真とらされ、処刑されて毛布かけられて顔を奪われて。その顔がTシャツシンボルでしかない結末。

 CIAのCの字も出てこないで、かわりに何の説明も無く暗号通信機だけが要所で出てくるのが、あえて言えば映画の映し出す無貌の悪意か。知らなきゃわかんないよアレ。