劇場版のFate

 なんか毎度かみあわんな。

 まぁ、そもそもFateは出来が悪いというか、月姫からその先に発展せずに「ユーザーの要望はこのあたり」とゆー中庸に投げてきた代物なので、素材からして、さほどの魅力はないんだけども。

 原作の、どうやって映像化したものか途方にくれるたぐいのギミックがことごとく無難にまとまってるのは残念だったかも。ただ、それとても、元のビジュアルノベル上での表現が稚拙といって構わないレベルでやってたことからするとマシなので、結局は原作が悪いとしか言いようがない。

 そもそも見るべきじゃなかった、ということか。

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 いや、シロウの性格が「どっかおかしい」とか「歪んでる」とか、本気で思ってる奴って、いったいどんだけいる? 普通に生活してる人たちにおいては、彼の言動なんて誤差の範囲内だろう。リンが自身の価値観においてイチャモンつけてくるのに特段に反論しなかったり、神父がこれみよがしに挑発するからそれに乗っちゃったり、セイバーがああしろこうしろと杓子定規に講釈をたれるのに反論するに足る知識経験を持ち合わせていなかったり、その程度の話ではないか。とりあえず、Fateというおはなしを楽しむためのお約束だから、そこは突っ込まないでおいてあげよう、とゆー暗黙の紳士協定で今まで流れてきてると思うのだが。

 一般人が、なんか特殊な環境に放り出されたとして、まぁ、二通りが考えられると思うん。「自分にはスキルが不足してるので引っ込んどくか」とゆー判断をする奴と、「なすすべも思いつかないが、とりあえず現状に対してアクションを起こさないといけないから」とゆー奴と。で、行動するにあたって、それっぽいロールモデルを呼び出すのは、普通だよね。なんか、バイオレンスなシチュでとりあえず「正義の味方」っぽく振舞って、んで普通だと失敗したら縮こまっとくわけだが、たとえば緒戦の何回かで困ったことに「うは、俺って致命傷を受けても復活しちゃうぜ」みたいな事態が発生したら、そりゃ、自身の生命や身体についての状況判断を見誤って、大胆に行動するものではなかろうか。その大胆さが結果として「幾多の即死フラグを奇跡的に回避しながら最後の戦いに勝利する」ようなところに行き着いただけであって。もともと、そういうプレイ感覚から強引に切り離された、いわば浮世離れした「ゆがみ」の抽出が、つまんない説教とセットになってるから、まぁ許されるかな、といった。