ぺるそなとりにてぃそうる(基本はつまんないです)

 なるほど今のアニメって東京が無いのだなというか、「都市」が描かれても「東京」と結びつかずアニメ本来の属性として無国籍な流れに戻ってんのね。そいやイノセンスでもわざわざ架空の都市を設定してたし「第三新東京市」から「東京」が外されていく形に進んだと。政治や統治の中心の不在を自然な形にしようとすると「中央からよくわかんない命令が届く高度に発達した地方自治都市」になる。アニマスだと「東京」は奇妙にも過去の風景のままに再現されたオトナ帝国だか三丁目だかマトリックスの虚構世界だかみたいな描写で、「社会」や「世界」やコミュニティの最後に残された拠り所である「学園」すら空っぽ。ロボが守るべき共同体などもはや存在しないことをよく示してる。アニマスで描かれる「東京」はロボが日常風景であるための書割背景でしかなく、むしろ日常のほうがロボにつられて異化される。

 ペルソナの原作は「ただの高校生がなぜかセカイを救っちゃう」奇妙さと頑張って付き合っていて、上手く解決できていたわけではないにせよ「セカイを救うのがシナリオの基本でなければならないメディアである和製RPG」と現代日本とを折衷するという難事と付き合いつづけてきた女神転生シリーズならではの話だった。コンピューターネタや終末思想ネタを真正面から扱い、終末ネタが期限切れになるあたりで「悪魔」から「ペルソナ」(まんまスタンド)に分派した系譜てのもあわせ、このシリーズはラノベな人たちの扱うネタと好対照であり続けていて無闇に語らないと気がすまない向きには最適な素材だと思うのだが、直球ど真ん中すぎて避けられるのか。

 で、なんのため近未来地方都市にしたかというと、えらく意味がない。たぶん空気のように当たり前になってしまった匿名空間(エンディングの学生服のやつ)を欲した結果としての都市空間、それでいてローカルな土地の記憶(主人公の家とか海とか)を強く求めたための地方性、といったセレクトだと思うのだけども。